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高品位テレビ衛星放送用帯域圧縮装置の開発

  • 写真なし二宮 佑一
  • 写真なし大塚 吉道
  • 写真なし杉本 昌穂
  • 写真なし和泉 吉則
MUSEエンコーダ/デコーダの試作機

図1 MUSEエンコーダ/デコーダの試作機

MUSEエンコーダ

図2 MUSEエンコーダ

MUSE方式の開発の歴史

表1 MUSE方式の開発の歴史

MUSE方式によるBS放送の回線設計例

表2 MUSE方式によるBS放送の回線設計例

 ハイビジョンは、当時は高品位テレビと呼ばれ、高画質であるがゆえに広帯域であり、NTSCやPALのような従来の方式で伝送するには30MHz程度のベースバンド帯域幅を必要とした。一方、ハイビジョンの実用放送を実現するためには、伝送路の確保が不可欠であり、広いサービスエリアを実現する方法として、放送衛星が全国普及や経済性の面から最も有利である。ハイビジョンを12GHz帯の衛星を通して伝送するためには、27MHzのRF帯域幅しかもたない衛星の1チャネルに適合する帯域圧縮方式を開発する必要がある。この要請を満足すべく、2回のサブサンプリングを行う、後にMUSE(Multiple Sub-Nyquist Sampling Encoding)と名づけられた帯域圧縮方式の開発が進められた。

 MUSE方式は、システムの実用性の見地から、安定性、耐雑音性、画質、同期方式、音声方式のすべてにわたって十分な検討を加えて開発された。このことは、実際に放送衛星(BS-2b、当時)を用いて実験をした結果、NTSCの受信と同様に60cm級のアンテナで良好な画像を受信できたことからも実証されている。

 NHKがMUSE方式の研究に着手したのは1982年、当時は、家庭用受信機にフレームメモリを導入するなど夢のまた夢の時代であった。研究に着手して、その2年後(1984年)には、MUSE方式の原型が完成し、NHKは、ハイビジョン放送にMUSE方式を採用することを発表した。その後、日本の家電メーカによるMUSE受信機の開発が進められ、1985年のつくば万博において、世界で初めて、SHFによる地上伝送実験が行われた。以後、国内外の伝送実験を通じて、MUSE方式、とりわけ、ハイビジョンの存在を世界にアピールした。

 BSによるMUSEハイビジョン実験放送が始まったのは1989年である。一方、デジタル放送の基幹方式であるMPEG-2の研究が始まったのは、その翌年(1990年)であり、MPEG-2の標準化が完成した1994年には、MUSE方式は実用化試験放送のフェーズに入っていた。そして、2000年12月1日、MPEG-2によるBSデジタル放送が開始され、MUSE方式は、アナログからデジタルへのスムーズな移行を行うため、デジタルのサイマル放送を行う位置づけとなった。

 最後に、2007年9月、MUSE方式によるハイビジョン放送は終焉の時を向かえるが、MUSE方式の果たした役割は、ハイビジョンを世界に周知させ、普及させたことであり、このことによって、デジタル放送へのスムーズな移行を成し遂げることができた。
                     =電子情報通信学会画像工学研究専門委員会編集=

 本研究の成果に対して、電子情報通信学会は、1987年、二宮佑一氏、大塚吉道氏、杉本昌穂氏のグループ、二宮佑一氏、大塚吉道氏、和泉吉則氏のグループに業績賞を贈った。

文献

[1] 二宮佑一,大塚吉道,和泉吉則、高品位テレビの衛星1チャンネル伝送方式-MUSE-、1985年、通信学会論文誌 Vol.J68-D, No.4
[2] Y.Ninomiya, Y.Otsuka,Y.Izumi、An HDTV Broadcasting System Utilizing a Bandwidth Compression Technique -MUSE-、1987年、IEEE Trans. Vol.BC-33, No.4
[3] 岩舘祐一, 二宮佑一、MUSEデコーダ用波形等化器の開発、1990年、テレビ学会誌 Vol.44, No.2
[4] 合志清一,苗村昌秀,山口孝一、MUSE方式における動画処理に関する検討、1992年、通信学会論文誌 Vol.J75-B-I, No.10
[5] 二宮佑一,大塚吉道、ハイビジョン方式技術、1996年、テレビジョン学会ハイビジョン技術シリーズ,コロナ社

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キーワード

ハイビジョン、高品位テレビ、MUSE、サブサンプリング、帯域圧縮、衛星放送、実験放送、実用化試験放送
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