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45m高精度ミリ波電波望遠鏡の実用化

  • 写真なし赤羽 賢司
  • 写真なし森本 雅樹
  • 写真なし立川 清兵衛
45mミリ波電波望遠鏡

図1 45mミリ波電波望遠鏡

45m電波望遠鏡で発見された星間分子

図2 45m電波望遠鏡で発見された星間分子

45mミリ波電波望遠鏡の模式図

図3 45mミリ波電波望遠鏡の模式図

 1930年のジャンスキーによる銀河電波の発見以来、電波天文の研究は、まずメートル波およびデシメートル波帯で進められた。この波長域では多くの天文学上の発見がなされたが、電子工学の進歩と共に、次第にセンチメートル、ミリメートル波帯での研究が行われるようになった。短波長域では、大気を透過する限界(~1mm)まで、大きな天文学的発見が期待された。そして一般的な傾向として、低雑音受信機、周波数安定度などが到達できる最高性能に見合う最大口径のパラボラアンテナを作ることが、電波望遠鏡の最大の研究課題となってきた。現在でもその状況は変っていない。

 我が国では1960年ころより宇宙電波の研究が計画されたが、それは諸外国より約15年遅れていた。しかし当時既に、我が国の衛星通信のためのアンテナ技術は極めて高いレベルにあった。本研究では、この分野(通信工学)の人々に接触し、通信アンテナを借りて天体の電波を受信することによって、電波望遠鏡のあり方を調べ、かつ研究者のグループ作りを始めた。1964年以来、この研究で宇宙電波の受信のために借用した通信用アンテナは、30m、10mおよび26m(鹿島、電波研)、20mおよび7m(十王、KDD研究所)、18m(内之浦、東大)など多岐にわたったが、いずれの場合もわずかな観測時間を借用しながら研究を続けた。かくして大型パラボラアンテナの技術の修得、電波望遠鏡の将来のあり方、見通しを得ることにつとめた。

 1970年ころには、電波干渉計を含めた大型電波望遠鏡の計画がまとまり、建設の見通しがついてきた。その中で、45m鏡については、本研究では、当時のセンチ波までの長波長帯での大口径競争(例えば西ドイツボンに100m鏡があった)には参加しないで、短ミリ波で使える最大口径の望遠鏡に挑戦することで45mという大きさが選ばれた。研究は、①気象条件の検討、②熱変形を防ぎ昼夜使用可能な構造、③重力変形の検討(ホモロジー設計)、④鏡面精度0.2mm(r、m、s)の測定法、⑤低雑音受信機の開発、⑥冷却受信機設置などに有利なビーム伝送系、などに重点がおかれ、更に立川氏らの研究グループと具体的な検討に入った。

 一方、アンテナとは無関係に、外国でミリ波をやっている人々のあいだには「日本は湿気が多いからミリ波観測は無理だ」という考えがあった。本研究では、大気中の熱放射を測ることにより(波長3mm)、多くの候補地での水蒸気の量を推定した。そして、野辺山高原で晴天時には、夏季の最も悪いときでも、仰角20 での大気透過率約50%程度が得られることを見定めた。また大気のゆらぎについては、本研究では、鏡面精度による短波長限界が、大気のゆらぎによる観測限界に追いつくまで最大限の努力をする方針をたて、実行した。

 上記の①から⑥の各項目は、協調性豊かな多くの人々の参加、協力によって実現され、45m鏡は1982年より天文観測に実用されるようになったものである。このように、大口径高精度パラボラアンテナを、世界で最初に、有効な電波望遠鏡として実用化した業績は極めて顕著である。

            =電子情報通信学会宇宙・航空エレクトロニクス研究専門委員会編集=

 本研究の成果に対して、電子情報通信学会は、1985年、赤羽 賢司(東大)、森本 雅樹(東大)、立川 清兵衛(三菱電機)に業績賞を贈った。

文献

[1] 赤羽賢司,森本雅樹,立川清兵衛,水沢丕雄,塚田憲三、大型宇宙電波望遠鏡観測装置、1982年、三菱技報, vol.56, No.7
[2] 森本雅樹,海部宣男,滝沢幸彦,青木克比古、大型アンテナのホモロジー設計、1982年、三菱技報, vol.56, No.7
[3] Akabane,K.、A Large Millimeter Wave Antenna、1983年、International Journal of Infrared and Millimeter Waves, vol. 4, Sept. , p. 793-808.
[4] Akabane, K., Morimoto, M., Kaifu, N., Ishiguro, M.、The Nobeyama Radio Observatory、1983年、Sky and Telescope, vol. 66, p495-
[5] Morimoto,M.、Results from Nobeyama Radio Observatory (NRO) - A progress report、1986年、Astrophysics and Space Science, vol. 118, no. 1-2, Jan. p. 63-65

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キーワード

ミリ波天文学、大気雑音、大口径パラボラアンテナ、電波望遠鏡、低雑音アンテナ
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