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高速ディジタル単一モードファイバ伝送システムの研究開発

  • 写真なし伊藤 武
  • 写真なし中川 清司
  • 写真なし石田 之則
現場試験伝送路の構成

図1 現場試験伝送路の構成

モード分配雑音

図2 モード分配雑音

高速ディジタル光中継器の構成

図3 高速ディジタル光中継器の構成

単一モード光ケーブルの布設による損失増加

図4 単一モード光ケーブルの布設による損失増加

 単一モード光ファイバと半導体レーザを主要な構成要素として用いれば、優れた高速ディジタル伝送システムが実現可能と考えられていた。単一モード光ファイバには低損失、広帯域という特徴があり、また半導体レーザは高出力で高速の変調に向いているからだ。しかしその実現に当たっては、両者について伝送距離や伝送速度などの性能の限界を知り、限界をもたらす要因を解明して、それぞれの優れた性質を損なうことのない最適なシステム構成法を見いださなければならない。

 日本電信電話公社(現NTT)は早くから、実用に供し得る単一モード光ファイバ伝送技術の確立をめざして研究開発を進め、1978年1月から横須賀電気通信研究所構内などで布設ケーブルを用いて高速光伝送システムの実用化試験を続け、1983年2月には400 Mbps伝送システムにより日本縦貫光ファイバ伝送路の構築にこぎ着けた。

 以下に、一連の研究開発のステップを列挙する。
 (1) 単一モード光ファイバ伝送システムの性能限界を理論的に解明し、種々の伝送実験によって実証するとともに、低損失単一モード光ファイバ線路技術、高速光変復調技術などを確立した(図1)。
 (2) 半導体レーザのモード分配による雑音増加現象が単一モード光ファイバ伝送システムの性能限界を決める重要な要因であることを明らかにした(図2)。
 (3) 100~800Mbit/sの伝送速度と波長0.85~1.5μmとの種々の組み合わせにおいて伝送特性を精密に評価した。
 (4) 高速・高性能な特性をもつ光送信回路、光受信回路、再生中継回路(図3)の構成法を明らかにするとともに、実用的な動作条件設定法を考案して光中継器設計法を確立し、試作して良好な動作を確認した。
 (5) 高速化に適した伝送路符号構成法を考案し、信号系列によらない安定な動作を可能にした。
 (6) 布設張力、温度変化などの実用要求条件を十分考慮して、マイクロベンド損図4)を低減しファイバの破断が防止できるユニット形単一モード光ケーブル構造を考案し、実験により低損失で広帯域であること、長尺布設に耐えられる光ケーブルであることを実証した。
 (7) 以上の研究成果を踏まえて最適なシステム設計を行い、400Mbit/sの単一モード光ファイバ伝送システムを構築した。
 この光伝送システムは、経済的なディジタル伝送路を提供するものであり、すでに日本列島を縦貫する基幹伝送路の建設に供せられ、高度情報通信システムの構築に極めて重要な役割を果たしている。またこれらの成果は、1.6Gbit/sの陸上システムや400Mbit/sの海底システムなどの高性能な光伝送システムの開発に大きく寄与している。

 このシステムは世界各国における単一モード光ファイバ伝送システムの開発に先導的な役割を果たした。

 本研究の成果に対して、電子情報通信学会は、1984年、これら一連の研究開発をリードした伊藤 武(電信電話公社)、中川 清司(電信電話公社)、石田 之則(電信電話公社)に業績賞を贈った。

文献

[1] 岩橋栄治,福富秀雄、F-400M方式の概要、1983年、電電公社研究実用化報告,Vol.32, No.3
[2] 岡野介英,中川清司,伊藤武、高速光ファイバ伝送における半導体レーザのモード分配雑音の影響、1979年、信学論,Vol.62-B, No.3
[3] 竹本憲治,伊藤武、InGaAsP/InP DHレーザ出力安定化に関する検討、1979年、信学論,Vol.62-C, No.10
[4] 青山耕一,中川清司,伊藤武、Optical Time Domain Reflectometry in a Single-Mode Fiber、1981年、IEEE Journal of Quantum Electronics, Vol.QE-17, No.6
[5] 中川清司,袴田吉朗,首藤晃一,伊藤武、400 Mb/s Optical Repeater Design and Performance、1982年、Transactions of IECE Japan, Vol.E65, No.11
[6] 袴田吉朗,露木滋,首藤晃一、F‐400M方式中継伝送系の設計と特性、1983年、電電公社研究実用化報告,Vol.32, No.3
[7] 吉開範章,片桐光一,伊藤武、mB1C Code and its Performance in an Optical Communication System、1984年、IEEE Transactions on Communications, Vol.COM-32, No.2
[8] 石田之則,田中千速,小林敬和,加藤康之、1.3μm帯ユニット形単一モード光ケーブルの布設による損失変化の検討、1983年、信学論,Vol.J66-B, No.9
[9] 石田之則,田中千速,原田和担,加藤康之,勝山豊,青海恵之,内田直也、Performance of field-installed 1.3-μm band singlemode optical cable、1983年、Appl. Opt., Vol.22, No.19
[10] 石田之則,原田和担,小林敬和,佐藤正治、F-400M方式現場試験線路の特性、1983年、電電公社研究実用化報告,Vol.32, No.3

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通信
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キーワード

単一モード光ファイバ伝送システム、モード分配雑音、高速光変復調技術、高速ディジタル光中継器、ユニット形光ケーブル構造、マイクロベンド損
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