1. HOME
  2. 電気・情報関連(専門)
  3. 研究情報(登録番号478)

パターン認識技術を用いた自動外観検査の選別装置の開発と製品化

  • 写真なし新田 義雄
  • 写真なし宮川 道明
  • 写真なし枝松 邦彦
汎用検査機(MW-2000)のシステム構成図

図1 汎用検査機(MW-2000)のシステム構成図

汎用検査機(MW-2000)の外観写真

図2 汎用検査機(MW-2000)の外観写真

 人間の目視による工業製品の外観検査を電子的な自動装置に肩代わりさせる場合、パターン認識技術を応用するのが早道と考えられる。ここで人間の目に代わるのがTVカメラやイメージセンサであり、神経や頭脳に当たる論理・記憶装置として電子回路あるいはコンピュータが用いられる。これらのハードウエアのうち特にマイクロコンピュータと固体カメラの性能が1975年ごろから急速に向上したため、パターンの特徴抽出・照合・識別などのソフトウエア(パターン認識技術)と有機的に結合させることにより、比較的単純な検査作業を自動化することが可能となった。

 実際の製品検査自動ラインに検査機を適用する場合、検査対象物が連続移動していることが多いので、移動物体撮像技術が必要となる。しかし連続移動物体をTVカメラや2次元固体カメラで撮像すると、TVカメラの走査速度や残像現象によって画像ぼけが生じ、検査機の性能を著しく低下させる。そこで動画像の静止化技術を応用してメカニカルシャッタ付TVカメラが開発された。これは移動パターンを高速度シャッタで瞬間撮像するもので、シャッタ速度は例えば1/1800秒程度である。

 さらに電子シャッタ方式のカメラも開発された。これは電荷結合素子(CCD)の露光時間を制御してシャッタ機能を実現させたもので、シャッタ速度は感度を考慮して通常1/400秒~1/2000秒に設定できる。こうした移動物体撮像技術により自動外観検査の選別装置の製品化が可能となった。

 処理速度が速いはずのマイクロコンピュータも、検査アルゴリズムをすべて処理させれば、1981年ごろのコンピュータ性能では判定時間がかかりすぎ、実際の製品検査自動ラインには適用できない。そこで高速処理はハードウエアに任せて、マイクロコンピュータには得意な部分だけを受け持たせるなど、ハードロジックとマイクロコンピュータのソフトとの分担が必要であった。またマイクロコンピュータ1台で処理できない場合は複数個に分散処理させた。

 目視検査自動化のための高速画像処理アルゴリズムを開発し、世界で初めて自動薬カプセル検査機を製品化したのは、新田義雄、宮川道明、枝松邦彦の3氏である。これが納入された製薬会社では、錠剤検査や空カプセル検査、刻印文字検査、文字付カプセル検査が自動化され、24時間無人運転で稼動している。さらにメカニカルシャッタや電子式シャッタよりも高速なストロボ方式の移動物体撮像技術により、1秒間に20カプセルの処理速度が実現された。

 これらの検査技術はプリント板のLSIチップ搭載確認やコンピュータのキーボード配列チェック、農産物(なす、りんご、もも)の各種選別など多くの検査作業にも適用された。さらに各専用機の製品化と並行して汎用機(MW2000シリーズ=図1,図2参照=、MW3000シリーズ、VRFシリーズなど)も開発され、広い分野で製品の品質向上に役立っている。

 本研究の成果に対して、電気学会は、1981年、これら自動外観検査装置の開発に当たった新田 義雄、宮川 道明、枝松 邦彦に電気学術振興賞進歩賞を贈った。

文献

[1] Y.Nitta、Visual Identification and Sorting with TV Camera Applied to Automated Inspection Apparatus.、1980年、10th.ISIR,pp.141-152
[2] M.Miyagawa, K.Ohki, N.Kumagai、Flexible Vision System 'Multi-Window' and this Application.、1983年、'83 ICAR, pp.171-178
[3] K.Edamatsu, Y.Nitta、Automated Capsule Inspection Method、1981年、Pattern Recognition, Vol.14, Nos.1-6, pp.365-374
[4] 新田義雄監修、ビデオセンサ導入実戦ガイド、1988年、電気書院
[5] Kunihiko Edamatsu、Visual Inspection Systems、1996年、Intelligent Sensors, Hiro Yamasaki (Editor), 1996 Elsevier Science B.V., pp.253-262
[6] K.Edamatsu, A.Komuro, Y.Nitta、Application of Random Pattern Recognition Technique to Quantitative Evaluation of Automatic Visual Inspection Algorithms、1982年、Rec.1982 Workshop IEEE Conf. on Industrial Applications of Machine Vision, pp.139-143,
[7] K.Muneki, K.Edamatsu, A.Komuro、Automated Visual Inspection Method for Printed Capsules、1984年、SPIE, Vol.504, Application of Digital Image Processing Ⅶ, pp.56-63,
[8] K.Nakamura, K.Edamatsu, Y.Sano、Automated Pattern Inspection Based on "Boundary Length Comparison Method"、1978年、Proc. 4th IJCPR, pp.955-957,
[9] N.Miyoshi, Y.Tachibana, T.Kawasaki, M.Kishi、Automatic Visual Inspection System for Empty Medicinal Capsules、1984年、IECON'84, pp.133-136,
[10] T.Yamamura、Automated Label Inspection Apparatus、1983年、'83 IFIP, pp.169-172,

関連する研究を検索

分野のカテゴリ

情報処理
(ヒューマン情報処理)

関連する出来事

データなし

世の中の出来事

1981
神戸で博覧会「ポートピア’81」が開幕する。
1981
スペースシャトル初飛行

Webページ

データなし

博物館等収蔵品

データなし

キーワード

外観検査、目視検査、自動化、パターン認識・理解、画像処理、パターン処理
Page Top