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単管カラー撮像管"ニューコスビコン"の開発

外観写真と撮像管ターゲット構成

図1 外観写真と撮像管ターゲット構成

撮像管ターゲット構造

図2 撮像管ターゲット構造

ニューコスビコン光導電膜の深さ方向組成分布

図3 ニューコスビコン光導電膜の深さ方向組成分布

分光感度

図4 分光感度

変調度特性

図5 変調度特性

立上がりと残像のバイアス光依存性

図6 立上がりと残像のバイアス光依存性

ストライプカラーフィルタの分光特性

図7 ストライプカラーフィルタの分光特性

ニューコスビコンカメラのベクトル図

図8 ニューコスビコンカメラのベクトル図

2/3インチ電磁集束偏向管の撮像管特性

表1 2/3インチ電磁集束偏向管の撮像管特性

 1970年代後半から家庭用ビデオカメラの開発がはじまり、これに使用する単管カラー撮像管の開発が必要とされた。そこで白黒用の高感度撮像管"ニュービコン"を単管カラー撮像管に応用する技術開発をした。

 単管カラー撮像管は,光導電ターゲットの直前に2色または3色の色分解用ストライプフィルタを持ち,入射画像を色によって空間変調し、信号を多重化して1本の撮像管から色信号を取り出すものである。

 単管カラー撮像管"ニューコスビコン"(*)の撮像管ターゲットは無機ストライブフィルタと新しい光導電膜から構成されている。前者の無機ストライプフィルタはダイクロイックフィルタおよび半導体の基礎吸収端を用いた半導体フィルタの開発、ならびにストライプ化技術及びフィルタ内蔵技術等の基礎技術の確立によるもので耐熱性、高透過率という特長を有している。後者の光導電膜はⅡ—Ⅵ族化合物半導体のヘテロ接合ZnSe—(Zn1-xCdxTe)1-y(In2Te3)yからなっており、白黒用"ニュービコン"(*)とは組成、製造方法が異なっており、高感度で焼きつきがないという"ニュービコン"の特長を維持するのみならず、低暗電流,高解像度等多くの改良がなされている。

 これらの無機ストライプカラーフィルタと光導電膜の開発により、色再現性がよく、焼きつきがなく,低照度(F1.4、30lx)下で撮像可能な小型カラー撮像管"ニューコスビコン"を製品化することができた。

   〈*〉登録商標


以下、その撮像管ターゲットの製造法を概説する。

 "ニュービコン"の技術を基にして単管カラー撮像管を開発する際.次の点が問題となった。
 1)ニュービコンの工程では ターゲットが高温になるので,従来の有機色分解フィルタが使えない。
 2)家庭ビデオカメラの市場は極めて大きいものと考えられ,低価格であることと大規模な量産が必要である。
 まず.1)に対しては,ダイクロイックフィルタと半導体フィルタ技術を用いた無機の色分解ストライプフィルタを開発し,その量産化技術を確立することにより解決した。この開発にあたって,最も困難であったのは色分解フィルタの分光特性のバラツキの低減であった。松下電器中央研究所で.精密な蒸着膜厚コントロ-ル装置を開発することにより、この問題を解決した。

 光導電膜については.ホール阻止層(ZnSe)/感度層(CdTe)/蓄積層(Zn1-xCdxTe(In))の3層を真空蒸着後、550°C前後で真空熱処理によって活性化させるとともにCdTeとZnCdTeが固溶化し、ZnSe近傍ではCdrichで徐々にZn成分が増加して傾斜型に変化する組成分布になっており表面側ではほぼZnTeになっている。最後に真空蒸着によって電子注入阻止層Sb2S3を形成し光導電ターゲットを完成させる。

 松下電子工業において,光導電ターゲットの大量蒸着方式と無機ストライプフィルタの無欠陥大量スパッタオーバーコートエ法を 開発することにより解決した。

 光導電ターゲットの蒸着では,大型の完全自動蒸着装置を開発することにより,生産性を初期の30倍以上に上げることができた。 無機ストライプフィルタには.光導電ターゲットを蒸着する前に同じく無機質のオーバーコートを施し,かつ平滑化することが必要である。オーパーコ—トを無欠陥にするためには数多くのノウハウの積み重ねが必要であった。最終的には,スバッタ装置の改良と,研磨方法の改善により,高い歩留で無欠陥の オーバー コートが得られるようになった。

 こうして開発された単管カラー撮像管ニューコスピコンは、家庭用ビデオカメラの撮像管の主流として広く使用され,1986年末時点で約300万本、月間生産もピークで10万本以上となった。

 ニューコスビコンは.管種として25mm(1インチ),18mm(2/3インチ),13mm(1/2インチ)およぴ11mm(1/3インチ)の管径のものが製品化された。1/2インチ管および1/3インチ管は,小型撮像管として,家庭用のVTR一体型力メラの実現に大きく貢献した。


 本研究の成果に対して、映像情報メディア学会は、1982年、松下単管カラー撮像管ニューコスビコン開発グループ(代表 藤原慎治)に技術振興賞開発賞を贈った。

文献

[1] 藤原慎司、田中栄一郎、武田悦矢,矢野航作、青木芳孝,貞松和美,山本準太、単管カラー撮像管"ニューコスビコン"、1982年、National Technical Report Vol.28,p52(1982)
[2] 藤原慎司,江口治,田中栄一郎,矢野航作、貞松和美,山本準太、ストライプフィルタ内臓ニュービコン、1978年、テレビジョン学会技術報告、ED423 (1978)
[3] 矢野航作,田中栄一郎、青木芳孝、江口治,藤原慎司、半導体の基礎吸収端を使用したフィルタ内蔵ニュ-ビン、1980年、テレビジョン学会全国大会予稿集、3‐10(1980)
[4] 青木芳孝,田中栄一郎,矢野航作,藤原信治,児玉宏達,関口俊男、新構造ストライプフィルタを用いた単管カラー撮像管、1981年、テレビジョン学会技術報告、ED562(1981)
[5] 武田悦矢、貞松和美、藤原慎治、ニューコスビコン光導電膜の撮像特性、1981年、テレビジョン学会全国大会予稿集、4‐12(1981)

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1978年
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世の中の出来事

1984
グリコ・森永事件が起こる。

Webページ

データなし

博物館等収蔵品

データなし

キーワード

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