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高周波記録再生に優れた積層アモルファスビデオヘッドの開発・実用化

開発した積層アモルファスヘッドの構成斜視図

図1 開発した積層アモルファスヘッドの構成斜視図

開発した積層アモルファスビデオヘッドの磁気ギャップの拡大写真

図2 開発した積層アモルファスビデオヘッドの磁気ギャップの拡大写真

開発した積層アモルファスビデオヘッドを搭載したMⅡ-VTR用シリンダー

図3 開発した積層アモルファスビデオヘッドを搭載したMⅡ-VTR用シリンダー

 放送用VTRには、コンパクトで高画質・長時間録画が可能なフォーマットの開発が要請され、これを実現するためには優れた高密度記録技術と同時に、特に高周波領域での記録再生技術の開発が必要とされた。高密度記録を実現するためには、磁気テープとして高い抗磁力を有する塗布型メタルテープが採用され始めていたが、このメタルテープの特性を充分に引き出すには高い飽和磁束密度を有する金属磁性材料を用いた記録ヘッドが必要とされた。しかし、金属材料は電気抵抗率が低いために、高周波領域では渦電流損失が大きくなり、磁気コアの透磁率特性の低下を引き起こしてヘッド感度を低下させ、メタルテープの性能を充分に引き出せていなかった。

 本開発では、高い飽和磁束密度(Bs=0.8T)と熱安定性を両立させたCoNbTaZrアモルファス合金磁性膜を開発し、更に高周波スパッタ法により非磁性絶縁膜と交互に積層することにより、高周波領域でも高い透磁率特性を発揮するアモルファス積層膜を実現した。一方で、このアモルファス積層膜と熱的及び機械特性的に適合性の高いセラミクス基板材料(NiTiMg材料)を開発し、このセラミクス基板でアモルファス積層膜を挟持する構造の磁気ヘッドの開発に成功した。従来のフェライトヘッドやMIGヘッドとは全く製造プロセスが異なることから、量産プロセスの実現には多くの課題が発生したが、これまで培ってきた材料技術と精密加工技術を駆使して、極めて複雑な積層アモルファスヘッドの量産プロセスを確立することができた。

 開発した積層アモルファスヘッドは、磁性膜の磁歪定数がゼロ付近にあるため摺動ノイズもほとんど発生せず、課題であった高周波領域においても磁気コアを積層構造にすることによりヘッド感度を大きく改善し、メタルテープの性能を充分に引き出して優れた高周波記録再生特性を実現することができた。

 このような積層アモルファスヘッドの性能は、放送用VTRのスペックを充分満たすものと認められ、放送用MⅡフォーマットVTRに搭載されたのを皮切りに、民生用S-VHS・VTRへ展開して赤色の鮮やかさと高SNで好評を得るとともに、更に高周波特性をレベルアップすることで、その後の放送用1/2インチコンポジットデジタルVTR(D3)、更には1/2インチコンポーネントデジタルVTR(D5)へ搭載され、広帯域・高密度磁気記録技術の発展に貢献することができた。

 本研究の成果に対して、映像情報メディア学会は、1987年、アモルファスヘッド開発グループに技術振興賞開発賞を贈った。

文献

[1] 黒江、沢井、里見、東陰地、榊間、小林、スパッタアモルファスビデオヘッド、1984年、電子通信学会磁気記録研究会 MR84-32
[2] 高橋健、沢井瑛昌、養田広、村岡俊作、井原慶太、Co系四元合金積層膜ビデオヘッドの高周波特性、1986年、電子通信学会磁気記録研究会 MR86-31
[3] Takahashi,Ihara,Muraoka,Yohda,Sawai and Kaminaka、A High Performance Video Head with Co Based Alloy Laminated Films、1987年、IEEE Trans.on Magn. Vol.23,No.5,Sep.1987,pp.2928
[4] 井原慶太、高橋健、紙中伸征、Co系合金積層膜ビデオヘッドの膜厚構成と高周波特性、1987年、電子情報通信学会半導体・材料部門全国大会 49
[5] 高橋 健、Co系合金積層膜ヘッド、1987年、日本応用磁気学会セミナー
[6] 高橋、長谷川、井原、村岡、養田、沢井、合金積層膜ビデオヘッドの磁路構成とヘッド特性、1988年、TV学会技術報告(ITEJ Tech. Rep.)Vol.12,No.3,pp.1
[7] 高橋 健、沢井瑛昌、香川耕一、S-VHS用積層アモルファスビデオヘッド、1988年、National Technical Report Vol.34,No.6,pp.644
[8] 長谷川、高橋、沢井、村岡、榊間、小佐野、Co系超構造窒化膜を用いた積層型ビデオヘッド、1990年、日本応用磁気学会誌 Vol.14,N0.2,pp.89
[9] Kaminaka,Sakakima,Takahashi,Osano and Hasegawa、Co-Based Superstructured Nitride Alloy Films : Characteristics and Applications for High Frequency Heads、1990年、IEEE Trans.on Magn. Vol.26,No.6,Nov.1990,pp2936
[10] 榊間博、高橋健、1/2インチコンポジットディジタルVTR(D-3フォーマット)用磁気ヘッド、1991年、National Technical Report Vol.37,No.4,pp.498

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キーワード

ビデオヘッド、高周波記録再生、積層膜、アモルファス磁性膜、放送用VTR、磁気記録、ストレージ
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