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超高速暗号KCipher-2の開発と標準化

  • 田中 俊昭田中 俊昭
  • 清本 晋作清本 晋作
  • 櫻井 幸一櫻井 幸一
KCipher-2の構成

図1 KCipher-2の構成

AESとの速度比較(CRYPTRECレポートから)

図2 AESとの速度比較(CRYPTRECレポートから)

 暗号は現代社会になくてはならない基盤技術となっている.受賞者らは,高い安全性を確保しつつ,現在,標準的な暗号方式として広く利用されているAESよりも一桁速い暗号アルゴリズムの実現を目指す研究開発を実施し,暗号アルゴリズムKCipher-2(1)を完成させた.この目標は,10年先の技術を想定したとしても十分競争力のある方式とするという考えと,当時の携帯端末では,暗号化処理は非常にコストが掛かり,マルチメディアコンテンツなど大容量データの暗号化は従来の暗号アルゴリズムでは困難であったというニーズから導き出されたものである.現在では,よりリソースの制限が厳しいIoTデバイスにおいても普及が進んでいる.KCipher-2(図1)は,高速ソフトウェア実装に適したDynamic Feedback Shift Register(DFSR)という新しい基本コンポーネントを考案し安全性の理論的評価を行うことにより,速度低下を抑えつつ,安全性の大幅な向上を実現した.AESと比較すると5~10倍高速であり(図2(2),かつ排他的論理和,算術加算,テーブル参照等の汎用的なコンピュータに具備されている基本演算のみから構成されるため,あらゆる環境に適用可能である.CRYPTREC(Cryptography Research and Evaluation Committees)等の第三者評価により,十分な安全性を有することが確認されている.受賞者らは,開発したKCipher-2の標準化活動にも積極的に取り組み,国際標準規格ISO/IEC18033-4(3)において標準化された.また,CRYPTRECでの評価を経て,ストリーム暗号カテゴリーの電子政府推奨暗号として唯一採用されている(4).更に,インターネットプロトコルの標準化を行っているIETFにおいてもRFC(Request for Comments)7008(5)を発行している.一方,スマートフォン向けセキュリティライブラリ(Android端末,iPhone端末等,累計1,000万台以上),官公庁向け携帯電話ソリューション(全国展開,約3万4,000ライセンス),来店ポイントシステム(全国の店舗で利用)など,広く社会の基盤技術として普及が進んでいる.
 以上のように,受賞者らは,従来よりも高速軽量な暗号方式の研究開発に成功し,同アルゴリズムを国際標準とし,更に同アルゴリズムを様々なサービスに適用することで,安心・安全な社会基盤構築に貢献した.また,受賞者らの業績は技術的に高く評価され,先端技術大賞経済産業大臣賞(平成24年)(6),全国発明表彰発明賞(平成25年),前島密賞(平成26年),科学技術分野の文部科学大臣表彰科学技術賞(平成26年)などの多くの賞を受賞している.これらの業績は極めて顕著であり,電子情報通信学会業績賞にふさわしいものである.

 本研究の成果に対して、電子情報通信学会は、2016年、田中 俊昭(KDDI総合研究所)、清本 晋作(KDDI総合研究所)、櫻井 幸一(九州大)に電子情報通信学会 業績賞 を贈った。

文献

(1)S. Kiyomoto, T. Tanaka, and K. Sakurai,“K2 stream cipher,”ICETE2007(Selected Paper), CCIS, vol. 23, pp. 214-226, Springer, 2008.
(2)Y. Nakano, K. Fukushima, S. Kiyomoto, T. Ishiguro, Y. Miyake, T.Tanaka, and K. Sakurai,“Fast implementation of KCipher-2 fo rsoftware and hardware,”IEICE Trans. Inf. & Syst., vol. E97-D, no. 1,pp. 43-52, Jan. 2014.
(3)ISO/IEC 18033-4 : 2011,“Information technology─Security techni-ques─Encryption algorithms─Part 4 : Stream ciphers,”2011.
(4)CRYPTREC,“電子政府における調達のために参照すべき暗号のリスト─電子政府推奨暗号リスト─,”March 2013.
(5)IETF RFC7008,“A description of the KCipher-2 encryption algorithm,”Aug. 2013.
(6) 産経新聞(10面),2012年6月12日.

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