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3Dプリンターの先駆的研究

  • 小玉 秀男小玉 秀男
3D プリンターの基本原理[sup](1)[/sup]

図1 3D プリンターの基本原理(1)

世界初の3D 3D プリンターによる立体家屋[sup](1)[/sup]

図2 世界初の3D 3D プリンターによる立体家屋(1)

世界初のマスクレスによる3D 3D プリンター実証[sup](3)[/sup]

図3 世界初のマスクレスによる3D 3D プリンター実証(3)

 プリンター・コピー機が普及し,現在では,オフィスのみならず,家庭にも必需品になりつつある.しかし,それらは,紙に映し出される二次元の世界である.私たちは,当然,次のステップとして,三次元でのコピー,若しくは印刷を欲していたが,現在のコピー機からでは“それ”を可能とすることは難しい.受賞者は,“それ”をいとも簡単に思い付いたように発明していった.展示会の帰り道のバスの中で,こうやればできるはず,と思い付き,すぐにそれを文章に残していたのだった.しかし,そのアイデアは,1980年,という余りにも早い時期であり,まだ二次元のコピー機も高価であった時代で,世の中もすんなり受け付けてはもらえなかったようだった.受賞者はその後,特許の道に進まれている.
 受賞者のアイデアは,樹脂にUV照射することによって,ポイントポイントで硬化させる光造形法が基本である.当時,三次元化する方法として有望と考えられたものは,ホログラフィーである.ホログラフィーは再生機が必要であり,仮想物体を表現することが困難であるという欠点があった.したがって模型作りをするしかなかった.受賞者は,「液相→紫外線照射→硬化」という反応をする感光性樹脂を利用して,三次元情報を創造する手法の基礎研究に挑戦した.この手法の特徴は,紫外線照射という“容易に自動化され得る単一の動作”のみで作成できることにあった.三次元的な情報を「あるか」,「ないか」という2値情報をとるものに限定し,情報の意味する形を実際に作成する,という点では,“NC工作盤”と類似するものである.しかし,受賞者の考案したものは,NC工作盤とは,全く作動原理が異なり,NC工作盤では作成できない,極めて複雑な形状のものを表示できるという特徴がある.また,透明な材質を使うので,内部まで透視できる,という特徴もある.
 図1に,3Dプリンターの基本原理を示す.まず,三次元情報を断面図の集合という形に編集したのち,容器に貯蔵された液状の感光性樹脂の表面に紫外線照射を行い,固化し,徐々にステージを下降させるというものである.この手法を用いて,作成した家屋の模型を図2にす.これは世界初の3Dプリンターによる立体家屋である.作成時間は当時1時間40分であった.更に,受賞者は,マスクを用いない光造形法を考案した.XYプロッターのように光照射部を動かすことによって,3D模型を創造するものである.図3が,その方法を用いて初めて実証したマスクレス3Dプリンターによる模型である.
 このように現在の3Dプリンターにつながる基本概念を確立した後,受賞者は,成果を電子情報通信学会に発表し,論文投稿した.1980年10月には世界初の3Dプリンターの論文として基本原理と実験結果を電子情報通信学会に投稿し,翌年1981年4月の電子情報通信学会論文誌C(vol.J64-C,no.4,pp.237-241)に掲載された.更に同年4月の電子情報通信学会総合大会にて発表した.
 実際に実用化されたのは,それから,10年以上の時間が経ってからである.しかし,その後の3Dプリンターの発展は目覚ましく,家電や自動車などの製造業を始め,医療,デザインの様々な分野において「ものづくり」に革新をもたらす技術として注目されている.最近では,造形方法が多様化するとともに,材料もプラスチックから金属までと多様化し,更に適用範囲が広がっている.2013年2月には,米国オバマ大統領が一般教書演説の中で3Dプリンターを取り上げたことで,更に注目を集めるようになった.市場レポートによると,3Dプリンター業界は,2020年には2兆円を超える産業になると予想されており,21世紀の産業革命とも称されている.

 本研究の成果に対して、電子情報通信学会は、2015年、小玉 秀男(快友国際特許事務所)に電子情報通信学会 業績賞 を贈った。

文献

(1) 小玉秀男,“立体図形作成,”特開昭56-144478 号公報,1981.
(2) 小玉秀男,“3 次元情報の表示法としての立体形状自動作成法”信学論(C),vol. J64-C, no. 4, pp. 237-241, April 1981.
(3) 小玉秀男,“感光性樹脂を利用した立体模型の自動作成装置について(XYZ プロッター試案),”昭56 信学全大,文冊5,p. 149,April 1981.
(4) H. Kodama, “Automatic method for fabricating a three-dimensional plastic model with photo-hardening polymer,” Rev. Sci. Instrum., vol.52, no. 11, pp. 1770-1773, Aug. 1981.
(5) 小玉秀男,“光造形法の発明,”日本マクロエンジニアリング学会誌,vol. 9, no. 2, March 1997.
(6) 小玉秀男,“ラピッドプロトタイピングの創作と特許,”第30 回センサ・マイクロマシンと応用システムシンポジウム招待講演,Nov. 2013.

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