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SDNコンセプトの具現化とOpenFlow技術の開発・実証と実用化

  • 岩田 淳岩田 淳
  • 下西 英之下西 英之
  • 小林 正好小林 正好
OpenFlow/SDN 方式を採用した論理集中型プログラマブル制御の特徴

図1 OpenFlow/SDN 方式を採用した論理集中型プログラマブル制御の特徴

ProgrammableFlow 製品による企業網での柔軟性とセキュリティの両立

図2 ProgrammableFlow 製品による企業網での柔軟性とセキュリティの両立

 現在のインターネットは自律分散制御方式を採用しており,個々のネットワーク装置に機能が埋め込まれているため,機能追加・変更が困難な上,装置の機能肥大化を招いていた.また,データセンター等の仮想化が進む環境では,頻繁に生じるサーバやストレージの構成変更に迅速に追随するネットワーク構築・運用が求められるが,自律分散制御に起因する遅延や振舞いの予測困難性により,迅速,確実なネットワーク変更ができないという課題があった.本課題に対し,受賞者らは,論理集中型のプログラマブルな制御方式によるネットワークの動的設計・構築・運用(SDN : Software-Defined Networking)と,最小限の標準的枠組み(OpenFlow)とによる解決策を提唱し(図1),ネットワーク業界に20年に一度と言われる革新をもたらした.
 受賞者らは,OpenFlow/SDNのれい明期の2007年から,米国スタンフォード大学とオープンイノベーション型共同研究体制を組み,SDNコンセプトの策定と中核となるOpenFlow技術の開発・標準化を行い,全米キャンパス網にて技術実証した.2008年には世界初のOpenFlowスイッチハードウェア試作機を完成させ,全米実験網GENI,国内実験網JGN-Xにてサービス運用の実稼動に成功した.これらは,Software-Definedなシステムが構築可能なことを世界で初めて実証し,ソフトウェアベンダが主導する革新的なインフラ構築への業界変革への道筋を示した画期的な成果である.
 2011年,ネットワーク構築・運用ニーズの強いデータセンター・企業・公共向けに,OpenFlowをベースにしたネットワーク仮想化ソリューションProgrammableFlowに対応したスイッチとコントローラを世界で初めて製品化した.ネットワーク装置を抽象化して制御するコントローラにより,トポロジー可視化,セキュアなネットワーク分割,通信経路の負荷分散,アプライアンス連携等を統合したネットワークの集中制御を可能にした.既に多くのユーザが本製品で商用運用している.キャリヤデータセンターでは,多拠点のデータセンターに本製品を採用,拠点間の動的なリソース配備により効率的運用をしている.企業網では,部門ごとに構築・拡張した物理ネットワークを柔軟性とセキュリティを両立させながら共有化し,構築・運用コストを低減した(図2).公共網では,一つの物理ネットワークを仮想化により多様なシステムで共有し,広域ミッションクリティカルな環境下でネットワーク統合運用を実現している.OpenFlow/SDNは,ネットワークの利用・設計・構築・運用の概念を変え,大幅なコスト低減を作り出し,運用者の投資やサービス形態へ大きな革新をもたらすと期待される.
 2014年には,ネットワーク機能仮想化NFVと組み合わせたモバイルコア製品vEPCやアクセス仮想化製品vCPE等を発表し,サーバ上の制御ソフトでネットワーク機能と性能の動的切換を実現した.国内外のキャリヤとトライアル実証に成功し,基幹ネットワークへのSDNコンセプト適用の潮流を醸成している.SDNは安心安全・効率化を支える社会インフラ基盤の実現技術として広く認められた.
 以上のように,受賞者らは,SDNコンセプトを提唱し,中核となるOpenFlow技術を世界に先駆けて製品化,論理集中型プログラマブル制御方式によるSoft-ware-Definedなシステム構築を実現,ネットワークシステムの概念を変革し,運用者の投資やサービス形態,利用形態に大きな革新を与えた.よって,受賞者らの功績は極めて顕著であり電子情報通信学会業績賞にふさわしいものである.

 本研究の成果に対して、電子情報通信学会は、2015年、岩田 淳(NECAM)、下西 英之(NEC)、小林 正好(NEC)に電子情報通信学会 業績賞 を贈った。

文献

(1) B. Pfaff, B. Heller, D. Talayco, D. Erickson, G. Gibb, G. Appenzeller,J. Tourrilhes, J. Pettit, K.K. Yap, M. Casado, M. Kobayashi, N.McKeown, P. Balland, R. Price, R. Sherwood, and Y. Yiakoumis,“OpenFlow switch specification Version 1.0.0,” Dec. 2009, http://archive.openflow.org/documents/openflow-spec-v1.0.0.pdf
(2) M. Kobayashi, S. Seetharaman, G. Parulkar, G. Appenzeller, J. Little,J.V. Reijendam, P. Weissmann, and N. Mckeown, “Maturing of OpenFlow and software-defined networking through deployments,”Comput. Netw., vol. 61, pp. 151-175, March 2014.
(3) K.-K. Yap, M. Kobayashi, N. Handigol, T.-Y. Huang, M. Chan, R.Sherwood, and N. McKeown, “OpenRoads : Empowering research in mobile networks,” ACM SIGCOMM Computer Communication Review, vol. 40, no. 1, pp. 125-126, Jan. 2010 (ACM SIGCOMM 2008 Poster Session).
(4) M. Kobayashi, “Software defined networking and OpenFlow : Challenges and opportunities,” Keynote at IEEE/IFIP ManFI Workshop, April 2012.
(5) H. Shimonishi and S. Ishii, “Virtualized network infrastructure using OpenFlow,” Proc. International Workshop on Broadband Convergence Networks, pp 4-79, April 2010.
(6) H. Shimonishi, S. Ishii, L. Sun, and Y. Kanaumi, “Architecture implementation, and experiments of programmable network using OpenFlow,” IEICE Trans. Commun., vol. 94-B, no. 10, pp. 2715-2722,Oct. 2011.
(7) A. Iwata, “OpenFlow/SDN technologies for cloud and for flexible and cost-effective transport,” SDN/MPLS 2012 International Conference, Nov. 2012, http://www.isocore.com/mpls2012/program/technical_sessions.htm
(8) T. Shimizu, T. Nakamura, S. Iwashina, W. Takita, A. Iwata, M. Kiuchi, Y. Kubota, and M. Ohhashi, “An experimental evaluation for dynamic virtualized networking resource control over an evolved packet core network,” IEEE R10-HTC2013, no. TS10, 2013.
(9) 岩田淳,“SDN の市場動向と今後の発展,”信学誌,vol. 96, no. 12, pp. 910-915, Dec. 2013.
(10) A. Iwata, “Innovation for network businesses by the world’s first SDN WAN technologies──O3 project──, “SDN/MPLS2014 International Conference, Nov. 2014, http://www.isocore.com/sdn-mpls/technical_sessions.htm

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