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超高速パケットネットワーク技術の先駆的研究

  • 山中 直明山中 直明
  • 大木 英司大木 英司
銅ポリイミドマルチチップスイッチモジュール

図1 銅ポリイミドマルチチップスイッチモジュール

OPTIMA : 640 Gbit/s のバックボーンシステム(2000 年)

図2 OPTIMA : 640 Gbit/s のバックボーンシステム(2000 年)

 ブロードバンドインターネットにおいて,トラヒックが集中するバックボーンでは,パケットを宛先ごとに高速に振り分けるパケットスイッチングシステムが必要となる.また,トラヒック需要の変動が生じる場合でも,ネットワークの資源を有効に活用するためには,動的に経路や帯域を制御するネットワーキング技術の確立が求められていた.
 受賞者らは,ブロードバンドインターネットの基盤となる超高速スイッチングネットワーク技術を世界的に先駆的に開拓してきた.受賞者らの研究は,Asynchronous Transfer Mode(ATM), Multi-Protocol Label Switching(MPLS), Generalized MPLS(GMPLS),フォトニックネットワーク,インターネットに及び,学術面とシステム開発の貢献のみならず,国際標準化により技術を普及させた功績も大きい.
 具体的には,パケットスイッチングシステムのアーキテクチャ,スケジューリング,ハードウェア,及びシステム化技術について,理論と実用の両面から精力的に研究し,技術の発展に寄与した(1)~(5).最先端の電子デバイス,光デバイスを用いて,トラヒック的な挙動を理論的に解析し,電子技術と光技術を融合したスイッチングアーキテクチャを提案した.スイッチングスループットを増大させるために,接続するLSI数の制限を緩和するアーキテクチャを発明し,規模の制限を克服した.また,それらの技術をシリコンバイポーラSST,超微細CMOS/SIMOX LSI技術,銅ポリイミドマルチチップ技術,モジュール間光インタコネクト技術といった最先端技術を連携して開発・運用するとともに,システム化技術及びハードウェア技術を駆使して当時の世界最高速のスループットを有するスイッチングシステムを実現した.これらは,IEEEの最優秀論文賞(1994),世界最大級の国際会議IEEE CTCにおけるベストペーパー3回(1990,1994,1998),電子情報通信学会論文賞(1998),電気通信普及財団テレコムシステム技術賞(1994)といった学術的表彰につながったのみならず,複数の国内外企業への技術移転を介して実用化にもつながっている.
 また,受賞者らはハードウェアやシステムのみならず,ネットワーク制御・パス計算の分野をも開拓してきた(6), (7).ネットワーク制御装置を簡易かつ柔軟に導入しやすいように,ネットワーク装置からパス計算機能を分離するパス計算方式を提唱し,ネットワーク制御のフレームワークを先駆けて確立してきた.更に,日本では当時珍しかった産学官連携のフォトニックインターネットラボ(PIL)の設立,10数年に及ぶ10社以上による国内外でのネットワーク相互接続の推進など,フォトニック・IP ネットワークに関する技術の普及に寄与してきた.標準化する組織であるInternet Engineering Task Force(IETF)において,プロトコル標準化に先導的な役割を果たし,インターネットの標準化プロトコルと認められている.
 以上のように,受賞者らは,学術的,実用的,及び技術普及の観点から,超高速パケットネットワーク技術をけん引してきた.これらの成果により,両名とも多くの学会表彰,IEEE Fellow,電子情報通信学会フェローを受けている.また,本分野に関わる技術の基礎から応用面までを著書(8)~(10)として体系化するなど,その功績は極めて顕著であり,電子情報通信学会業績賞にふさわしいものである.

 本研究の成果に対して、電子情報通信学会は、2015年、山中 直明(慶應大)、大木 英司(電気通信大)に電子情報通信学会 業績賞 を贈った。

文献

(1) N. Yamanaka, S. Kikuchi, T. Kon, and T. Ohsaki, “Multichip 1.8-Gb/s high-speed space-division switching module using copper-polyimide multilayer substrate,” IEEE 40th ECTC, vol. 1, pp. 562-570, May 1990.
(2) N. Yamanaka, K. Endo, K. Genda, H. Fukuda, T. Kishimoto, and S.Sasaki, “320 Gb/s high-speed ATM switching system hardware technologies based on copper-polyimide MCM,” IEEE Trans., Compon. Packag. Manuf. Technol. B, Adv. Packag., vol. 18, no. 1, pp. 83-91, Feb. 1995.
(3) E. Oki and N. Yamanaka, “A high-speed tandem-crosspoint ATM switch architecture with input and output buffers,” IEICE Trans. Commun., vol. E81-B, no. 2, pp. 215-223, Feb. 1998.
(4) E. Oki, N. Yamanaka, Y. Ohtomo, and K. Okazaki, “A 10-Gb/s (1.25 Gb/s x8)4x2 0.25-μm CMOS/SIMOX ATM switch based on scalable distributed arbitration,” IEEE J. Solid-State Circuits, vol. 34, no. 12, pp. 1921-1934, Dec. 1999.
(5) N. Yamanaka, E. Oki, S. Yasukawa, R. Kawano, and K. Okazaki, “OPTIMA : Scalable, multi-stage, 640-Gbit/s ATM switching system based on advanced electronic and optical WDM technologies,” IEICE Trans. Commun., vol. E83-B, no. 7, pp. 1488-1496, July 2000.
(6) E. Oki, K. Shiomoto, D. Shimazaki, N. Yamanaka, W. Imajuku, and Y.Takigawa, “Dynamic multilayer routing schemes in GMPLS-based IP+optical networks,” IEEE Commun. Mag., vol. 43, no. 1, pp. 108-114, Jan. 2005.
(7) N. Yamanaka, “Photonic internet lab. : Breakthrough for leading edge photonic-GMPLS,” IEICE Trans. Commun., vol. E87-B, no. 3, pp. 573-578, March 2004.
(8)N. Yamanaka, K. Shiomoto, and E. Oki, GMPLS Technologies, CRCPress, Boca Raton, Sept. 2005.
(9)E. Oki, Linear Programming and Algorithms for Communication Networks, CRC Press, Boca Raton, Aug. 2012.
(10)インターネットバックボーンネットワーク,山中直明(編),電気通信協会,2014.

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