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アドホックネットワーク・無線メッシュネットワーク技術の先導的研究開発

  • 間瀬 憲一間瀬 憲一
新潟大学五十嵐キャンパスを中心とする大規模屋外テストベッド

図1 新潟大学五十嵐キャンパスを中心とする大規模屋外テストベッド

東松島市に構築した避難所通信サービスを提供する無線マルチホップネットワーク

図2 東松島市に構築した避難所通信サービスを提供する無線マルチホップネットワーク

 近距離の相手であれば,電話網などの通信インフラに頼らず随時通信を行いたいというニーズに応えて,移動端末のみで即時にその場だけのネットワークを作るという発想がある.そのようなネットワークはアドホックネットワークと呼ばれ,同じく無線マルチホップ通信を利用する無線メッシュネットワークとも密接に関連する.これらのネットワーク概念は自律分散制御,信頼性,スケーラビリティなどの面で挑戦に値する研究領域を創出する.
 受賞者はアドホックネットワーク・無線メッシュネットワーク分野の研究開発の第一人者として長年中心的な役割を果たし,卓越した構想力,熱意と強力なリーダーシップにより,本分野の基盤技術の確立(1),大規模災害時の利用技術確立などに顕著な功績を上げた.
 2004年から2008年にかけて,ノード数90を超える世界有数の大規模屋外テストベッドを開発・構築した(図1)(2),(3).本テストベッドを利用して,2005年には産学官11機関が参加する実験チームを指揮し,アドホックネットワークの安定運用に成功した.2006年にはアドホックネットワーク・ルーチングプロトコルOLSRv2の国際標準化推進グループ(仏,米,ノルウェー,カナダ,日本の5か国)による国際共同実験,OLSRv2の仕様策定への協力,実装開発などを主導した.また,OLSRv2シミュレータの開発を指揮し,米Scalable Network Technologies社のネットワークシミュレータQualNetに,2006年標準搭載された.
 大規模災害復旧時,避難所などに係留する複数の気球間を空中アドホックネットワークで接続し,1か所に衛星地球局を置くことにより被災地内外の通信を確保する構想「スカイメッシュ」を2006年に提唱し,実証実験を重ねてきた(4).その後類似の構想が内外の産業界から相次いで発表され,その先駆けとなったものである.広域被災地のモニタリングにおいて電気自動車と無人超小形ヘリコプターを活用し,ヘリコプター駆動用モータのバッテリーを電気自動車バッテリーにより充電する構想は内外の関心を集めている(5),(6).小容量の仮設回線などを用いて避難所で多くの避難者に対して鉛筆と紙があれば被災地外のインターネット利用者とのメッセージ交換が可能になる避難所通信サービスの構想を2010年に実用化した(7)
 2004年の新潟県中越地震により被災した旧山古志村の復興に資するため,2006年に無線メッシュネットワークを構築し,住民モニタにインターネット接続サービスを提供した.2011年の東日本大震災に際して,東松島市長の要請に基づき,宮戸地区に無線マルチホップに基づくインターネット接続回線を構築し,避難所利用者に避難所通信サービスを提供する活動により,大規模災害時の通信確保の実践を行うとともに諸課題を明らかにした(図2)(5)
 本分野の研究開発,国際標準化,産業利用などの促進を目指して産学官連携(27機関)のアドホックネットワークプラットホームに関するコンソーシアムを2003年12月に設立し,2013年3月まで運営委員会委員長を務め,本分野の共同研究推進,研究プロジェクト創出,技術開発と産業化の促進に貢献した.
 以上のように,候補者は世界有数のアドホックネットワーク・無線メッシュネットワークの大規模テストベッドを開発し,本分野の技術体系化,実証的研究開発をけん引してきた.これらの成果は,IEEE Fellow(2005), IEEE CQR(Communications Quality and Reliability)Chairman's Award(2010), The Ninth International Conference on Networking and Services Best Paper Award(2013)受賞,また,一連の招待論文・招待講演(2),(5), (7)~(10)を依頼されるなど,高く評価され,その業績は極めて顕著であり,電子情報通信学会業績賞にふさわしいものである.

 本研究の成果に対して、電子情報通信学会は、2014年、間瀬 憲一(新潟大)に電子情報通信学会 業績賞 を贈った。

文献

(1) K.Mase,“Layer3 wireless mesh networks:Mobility management issues,”vol.49,no.7,IEEE Commun.Mag.,pp.156-163,2011.
(2) S.Obana,B.Komiyama,and K.Mase,“Test-bed based research on ad hoc networks in Japan,”IEICE Trans.Commun.,vol.E88-B,no.9,pp.3508-3514,Sept.2005.
(3) K.Mase,Y.Owada,H.Okada,and T.Imai,“A testbed-based approach to develop layer 3 wireless mesh network protocols,”International Conference on Testbeds and Research Infrastructures for the Development of Networks & Communications,March 2008.
(4) H.Okada,H.Oka,and K.Mase,“Network construction management for emergency communication system SKYMESH in large scale disaster,”IEEE International Workshop on Management of Emerging Networks and Services,pp.875-880,2012.
(5) K.Mase,“Information and communication technology and electric vehicles─Paving the way towards a smart community,”IEICE Trans.Commun.,vol.E95-B,no.6,pp.1902-1910,June 2012.
(6) K.Mase and T.Saito,“Electric-vehicle-based ad hoc networking and surveillance for disaster recovery─Proposal of three-dimensional mobile surveillance using electric helicopters,”The Ninth International Conference on Networking and Services,March 2013.
(7) K.Mase,“How to deliver your message from/to disaster area,”IEEE Commun.Mag.,vol.50,no.1,pp.52-57,Jan.2011.
(8) K.Mase,M.Sengoku,and S.Shinoda,“A perspective on nextgeneration ad hoc networks─A proposal for an open community network─,”IEICE Trans.Fundamentals,vol.E84-A,no.1,pp.98-106,Jan.2001.
(9) K.Mase,“The electric vehicle─A sacred treasure supporting a smart community,”The Fifth International Conference on Mobile Computing and Ubiquitous Networking (ICMU 2012),May 2012.
(10) K.Mase,“Wide-area real-time surveillance using electric vehicles and helicopters for disaster recovery,”International Conference on Computing,Networking and Communication(ICNC2014),Feb.2014.

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