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動く手からも認証可能な,非接触手のひら静脈認証技術の世界初の実用化

  • 青木 隆浩青木 隆浩
  • 福田 充昭福田 充昭
  • 江口 真一江口 真一
手のひら静脈センサ内蔵ATM

図1 手のひら静脈センサ内蔵ATM

世界最小・最薄の手のひら静脈センサ

図2 世界最小・最薄の手のひら静脈センサ

 近年,人間の体の特徴を利用して個人を特定する本人認証技術が広く利用されるようになってきている.受賞者らは,生体内部の情報を利用することにより,安全で安定した手のひら静脈認証方式を新たに開発し実用化した.
 静脈を撮影する方法には,反射形と透過形の2方式がある.反射形では,静脈像を撮影するための光学系と同じ側から照明を行う.そのため,透過形に比べ装置の小形化が可能である.受賞者らはこの点に着目して反射形を選択し2003年に世界で初めて非接触での認証を可能にする技術を開発し,2004年に製品化した.この製品は金融分野での個人認証(図1)や,企業でのコンピュータへのログインや入退室管理などの用途に国内外で広く利用されている.
 新たに開発した世界最小・最薄の手のひら静脈センサでは,高速撮影技術と自動認証機能により,動いている手のひらからの認証を実現し,利用者の使い勝手を大きく改善した(図2).更に,指紋認証と組み合わせることで,一つの手のひら静脈と3本の指紋データにより500万人から一人を特定する大規模認証システムに展開した.
 非接触手のひら静脈認証では,75,000人150,000手のデータに基づく実験により,本人受入率99.99%のときに他人受入率0.00008%以下を確認し,5歳から85歳までの年齢層のデータ,日本在住の外国人,数年間にわたる経時変化,飲酒,入浴など各種生活場面のデータでも,安定した認証性能を確認した.
 2006年には米国の独立系コンサルティング会社IBGでの約4万回の本人比較と5,000万回の他人試験による客観的評価による,Biometric Performance Certification(生体認証の性能認定)を受けた.これにより,手のひら静脈認証が高い精度と使い勝手を両立していることが評価された.
 2008年には,ITセキュリティの国際標準規格コモンクライテリア(ISO15408)のEAL2認定を受けた.本規格の認証取得は,脈認証装置としては世界で初めて,生体認証技術としても3番目である.
 更に2011年には指紋認証との融合技術に発展させ,ID等の情報を利用せずに500万人の中から一人を2秒で特定可能な技術に展開している.
 東京三菱銀行は2004年10月,ATMでの本人確認に手のひら静脈認証を採用し,現在まで安定した運用を続けている.海外では,ブラジルのブラデスコ銀行が他の生体認証技術と比較検討の上,高い認証性能と非接触による衛生面などが顧客に受け入れやすいとしてATMに採用した.ほかにも,PCログイン,入退室,患者確認や給食サービスでの認証など,様々な用途で900万人以上に利用されている.
 受賞者らは,非接触手のひら静脈認証による確実な本人確認を実現し,世界各国での情報漏えい防止や個人情報保護による安心安全な生活実現に貢献した.その業績は誠に顕著であり,電子情報情報学会業績賞にふさわしいものである.

 本研究の成果に対して、電子情報通信学会は、2012年、青木 隆浩(富士通研)、福田 充昭(富士通研)、江口 真一(富士通フロンテック)に電子情報通信学会 業績賞 を贈った。

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キーワード

非接触手のひら静脈認証技術、本人認証技術、静脈センサ、生体認証技術
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