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複素誘電率の高精度測定法の提案とそのマイクロ波応用技術の確立

  • 小林 禧夫小林 禧夫
 マイクロ波・ミリ波デバイスを構成するために,樹脂,単結晶,セラミックス等の様々な低損失誘電体材料が用いられている.それらの材料の複素誘電率の周波数特性や温度依存性を高精度に測定する測定法の開発は,材料開発や回路の高精度設計のために必要不可欠である.受賞者は長年にわたり種々の形状試料に関する材料評価法を提案し,その普及に努めてきた.
 まず,受賞者は誘電体共振器の厳密な電磁界解析を世界に先駆けて成功し,すべての共振モードに関する共振周波数の高精度計算法を確立した.次に,その解析を基に誘電体円柱試料を評価するための両端短絡形誘電体円柱共振器法を確立した.本手法はセラミック円柱の評価技術として各国で採用され,新材料開発に利用されてきた.この結果,高誘電率低損失かつ温度高安定な種々のセラミック材料が開発され,これらのセラミックスを利用した様々な小形誘電体フィルタが開発された.特に,受賞者の発明による誘電体フィルタは,勃興期にあった移動体通信基地局用フィルタとして実用化された.本業績により受賞者は村田製作所とともに井上春成賞を授賞されている.
 また本測定法はマイクロ波帯における導体板の表面抵抗測定にも有効なことを実証し,高温超伝導基板の表面抵抗測定にも応用されている.これらの測定法に共通する特長は,試料の着脱が簡便な装置を用いて,厳密な電磁界解析に基づいた高精度測定法を実現したことにある.このため,これらの測定法は次々とIEC国際標準化及びJIS標準化された.我が国工業標準化の発展への貢献により経済産業大臣賞を受賞した.
 最近,誘電体平板試料の面方向の複素誘電率を測定するための空洞共振器法及び垂直方向の複素誘電率を測定するための平衡形円板共振器法を開発した.これらの測定法により電子回路用誘電体積層基板には面方向と垂直方向で異方性があり,また誘電体との接着強度を増すために施される銅はくの面粗しの影響がマイクロ波帯あるいはギガビット領域では無視できなくなることを実証し,誘電体基板の開発や平面回路デバイスの高精度設計の実現に多大の貢献をしている.更には,円筒空洞共振器の中心軸上に誘電体丸棒試料を挿入した共振器構造に存在する複数の共振モードを用いて,複素誘電率の周波数依存性を測定する手法を確立している.
 以上述べたように,受賞者が研究開発した様々な材料測定技術は国際規格として各国で利用されて,新材料開発や電子回路の高精度設計の実現に大きく貢献している.したがって,受賞者の業績は誠に顕著で,電子情報通信学会業績賞にふさわしいものである.

 本研究の成果に対して、電子情報通信学会は、2011年、小林 禧夫(埼玉大)に電子情報通信学会 業績賞を贈った。

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低損失誘電体材料、両端短絡形誘電体円柱共振器法、平衡形円板共振器法
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