1. HOME
  2. 電気・情報関連(専門)
  3. 研究情報(登録番号4024)

大容量光伝送を実現するための多値位相変調用LN光変調器の先駆的研究

  • 田中 一弘田中 一弘
  • 土居 正治土居 正治
  • 杉山 昌樹杉山 昌樹
 近年ビデオ伝送などのインターネットアプリケーションの爆発的増加により,従来の10Gbit/sを超える40Gbit/s,100Gbit/sの光伝送システムが求められている.40Gbit/s以上の伝送を実現するためには,10Gシステムをベースとした既存のネットワークインフラへの親和性の観点から,伝送路で発生する信号ひずみに対する耐力,帯域効率の優れた変調方式が必要とされ,従来の強度変調方式に代わり光位相を高速に切り換える多値(4値)位相変調方式(QPSK若しくはDQPSK)が有望な技術となった.
 このような大容量光伝送を可能とする位相変調技術の導入とQPSK等の多値変調方式を実現するためには,小形・低駆動電圧で多機能を集積した光変調器が必要となる.ニオブ酸リチウム(Lithium Niobate,以下LN)材料を用いた光変調器は,その広帯域性,優れた波長均一性などから大容量光伝送におけるキーデバイスとなっている.しかし当初は,この多値位相変調方式を実現する光変調器は動作確認的な発表のみであり,優れた伝送特性が期待されるQPSK変調器を実現するためには,内側の2個のマッハツェンダ干渉(MZI)変調器と外側のMZI導波路から構成される,従来に比べて集積度の高いLN変調器を製作する必要がある.更に位相変調を行うためには強度変調の2倍の電圧で変調器を駆動する必要がある.また,高品質のQPSK信号を実現するために,内側の2個の変調器が電気的・光学的にそろって動作する必要がある.
 受賞者らは,LN変調器のドリフト課題を解決し高速LN変調器の実用化の道を開いて以来,LN変調器の高速化の一連の先駆的な研究を進めてきたが,この多値位相変調に向けて以下の研究を精力的に進めた.まず,新規電極構造による低駆動電圧(3.5V)での40Gbit/s高速変調技術であり,次に,従来技術に対しマイクロ波の減衰を抑えることが可能な電極構造,及びそれを実現するプロセス技術を開発し,光/電気相互作用長を長くすることで低電圧化と広帯域化の実現を可能とし,従来変調器の性能指数(帯域/駆動電圧)を約3倍改善した.高品質のQPSK信号(等シンボル間配置)を実現するためには内側の2個のMZI変調器の四つの導波路損を均一にする必要があり,導波路損均一化プロセス技術の研究を行って成果を上げている.また,多値化に伴い複数の高速電気信号入力があるが,電気信号遅延補償技術の研究を行い同一面からの駆動を可能にし,多値位相変調を実現した.更に,今後の高度化された多値位相変調方式に対応すべく,微小曲げ導波路による変調部集積化技術等で今後の洗練されたLN光変調器技術の研究をリードしてきた.
 これらの研究開発は既に40Gbit/s DQPSK変調器,100Gbit/s偏波多重(DP)QPSK変調器などの製品に展開されており,これらの研究が着実に社会に貢献している.これらの開発に関し平成22年度科学技術分野の文部科学大臣表彰で「光通信用40GLN光変調器の開発」に対し科学技術賞(開発部門)を受賞している.
 以上述べたように受賞者の研究は,動作確認の研究レベルであった多値位相変調器の様々な課題を先駆的に解決する成果を上げておりその功績は大きい.これにより大容量光伝送のための多値位相変調方式の導入を加速した受賞者らの業績は顕著であり,電子情報通信学会業績賞にふさわしいものである.

 本研究の成果に対して、電子情報通信学会は、2011年、田中 一弘(富士通研)、土居 正治(富士通オプティカルコンポーネンツ)、杉山 昌樹(富士通オプティカルコンポーネンツ)に電子情報通信学会 業績賞 を贈った。

関連する研究を検索

分野のカテゴリ

電子・デバイス
(光技術)

関連する出来事

データなし

世の中の出来事

データなし

Webページ

データなし

博物館等収蔵品

データなし

キーワード

大容量光伝送、位相変調技術、高速LN変調器、LN光変調器技術
Page Top