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分光全放射束標準LED

開発した標準LED

図1 開発した標準LED

標準LEDのスペクトル(赤)と、市販の白色LEDのスペクトル(青)の比較

図2 標準LEDのスペクトル(赤)と、市販の白色LEDのスペクトル(青)の比較

[従来技術]
 照明は、家庭における消費電力の約6分の1を占めており、省エネルギーの観点から、白熱電球や蛍光灯などの従来照明から、LED照明などの消費電力の少ない固体素子照明への置き換えが進んでいる。エネルギー効率や色は、照明製品の性能を示す指標であり、これらは、測光・放射量が値付けされた標準ランプにより校正された分光測定装置により得られるスペクトルから評価される。
 しかし、固体素子照明は、前面にのみ光が放射されることや、多種多様なスペクトルで発光することなど、従来照明とは異なる特性を示すため、固体素子照明の分光測定に適した標準的な光源が存在せず、正確な測定が容易ではなかった。

[解決すべき課題]
 固体素子照明の分光測定に適した標準的な光源には、前面にのみ光を放射する特性に加えて、可視光の波長領域(380 nm~780 nm)全体で十分な光強度をもつ、という特性が求められる。前者の特性を満たすにはLED光源がふさわしいが、市販の白色LEDの多くは、青色LED素子の青色光と、黄色蛍光体の黄色光の混色によって白色を作っている。そのため、可視光の波長領域のうち短波長側と長波長側で光強度が無いか、非常に弱い。加えて、青色LEDのピークや、青色光と黄色光の境目の位置などで、分光分布の凹凸が鋭くなる傾向がある。このような理由により、これまで開発された市販白色LEDは標準的な光源には適していなかった。

[課題を解決するための手段と結果]
 開発した標準LEDは本体の直径は62 mm、中心の発光部の直径は12 mmであり、発光部の温度を一定に保つための温度制御機構を実装している(図1)。この標準LEDは、200 mAの定電流、順方向電圧が約47.3 Vとなる。このとき、全放射束は約1300 mW、全光束は約200 lmであり、この値は、一般的なLED電球等の明るさに近い値となっている。
 前述した通り、市販白色LEDのスペクトル形状は標準的な光源として適していないため、この標準LEDでは、分光分布を設計する上で改善を施した。まず、短波長側に広げるために、励起用のLEDには、ピーク波長が異なる近紫外~青色の4種類のLED素子を用いた。そしてRGBの蛍光体を用いることで、短波長側の励起用LEDのピークとの境目を含め分光分布の凹凸を減らし、急峻な部分を減少させた (図2).これにより、標準LEDのスペクトルは380 nm~780 nmの波長領域に広がり、可視光のほぼすべての波長領域で十分な光強度を実現した。
 さらに、その他の特徴として、設置方向によって光強度が変化しない、高い温度安定性、電流強度を変化させても相対分光分布が変化しない等の、従来までの標準的な光源にない優れた特性を有している。

[効果]
 この標準LEDは、2016/5より日亜化学工業(株)から販売されており、これを標準光源として用いることで、LEDに適した測定条件である2π幾何条件での全光束・色等評価等が可能になり、製品開発の加速や性能の向上に貢献が期待できると考えている。

[応用]
 この標準LEDは分光全放射束標準用標準光源としてだけでなく、分光測定に基づき光度・照度等を評価する際の標準的な光源としても用いることができる。これにより、世界的な問題である各種標準電球の生産中止についても、その解決に資することができると考える。


 本研究の成果に対して、照明学会は、2017年、神門賢二 (産総研)、中澤 由莉 (産総研)、丹羽一樹 (産総研)、山路 芳紀 (日亜化学工業)、松岡真也 (日亜化学工業)に照明技術開発賞を贈った。

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測光、放射量、標準LED、全光束、分光全放射束、標準電球、LED照明、分光測定、個体素子照明、白色LED
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