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垂直磁気記録方式の開発による高密度磁気記録技術への貢献

  • 岩崎俊一岩崎俊一
水平磁気記録方式と垂直磁気記録方式

図1 水平磁気記録方式と垂直磁気記録方式

 現在の情報社会を生み出した主役はコンピュータである。このコンピュータにおいて、特に、磁気記録を担うハードディスク装置(HDD)技術は、LSI技術と並び重要な構成要素技術であり、HDDの発展なくして、現在のインターネットシステムやクラウドコンピューティング技術などの発展はなかったといっても過言ではない。今後、全デジタル化時代に向けて、HDDの大容量化はますます必要とされるが、それを可能にする革新技術が岩崎博士による垂直磁気記録方式である。
 リング型ヘッドを用いる従来の磁気記録ではすべて、記録媒体において平面内方向の磁化を利用する方式が採られている。この方法において、媒体上の信号の記録密度を単純に高めようとすると、磁化の減衰を防ぐため記録媒体の磁性層を薄くすることが必要になるが、熱により情報が不安定になるという本質的な問題点を有していた。
 岩崎博士は、磁気記録の原点に立ち戻って究明することにより、①高密度記録を行うためには媒体面に垂直磁化モードが有効であることの発見、②垂直磁化膜を水平磁化層で裏打ちした二層構造により形成すれば高感度化が達成できる、という画期的な発想、および③磁性薄膜を用いた垂直型磁気ヘッドの開発、などにより、1977年に世界で初めて、高記録密度に向けた垂直磁気記録方式を実現することに成功した。これにより、それまでさまざまな方策を講じて延命が図られた水平方向記録から垂直磁気記録への大きなパラダイムシフトを現実のものとした。
 垂直磁気記録方式によるハードディスク装置(HDD)は2006年から世界の主要企業で生産が始まり、2010年にはHDDは全て垂直磁気記録型に置き換わると言われている。このように、垂直磁気記録方式はコンピュータの記憶装置の主流であるHDD技術分野において革新的技術としてその地位を確立するとともに、実用的にも優れたHDD生産技術として大きく貢献した。
 以上、博士の研究は、従来の技術に対する抜本的な再検討と発想の飛躍により、新しい磁気記録分野を開拓したものであり、全デジタル時代に向けた大容量記録技術の革新と発展に比類なき貢献を成している。よって、岩崎博士の業績は、電子工学、情報技術分野における「工業生産・生産技術」への貢献を称える2010年日本国際賞に最もふさわしいと考える。




 本研究の成果に対して、国際科学技術財団は、2010年、岩崎俊一(東北工業大学)に日本国際賞を贈った。

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垂直磁気、垂直磁気記録方式、コンピュータ、磁気記録、ハードディスク装置、HDD、高密度記録、垂直磁化
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