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スタチンの発見と開発

  • 遠藤 章遠藤 章
 心筋梗塞や脳梗塞などの動脈硬化を背景とする血管障害性疾患は、先進諸国をはじめとする多くの国々で最も頻度の高い疾患であり、動脈硬化を促進する重要な要因のひとつが高コレステロール血症である。遠藤章博士は、血中コレステロール値を効果的に下げる薬を発見・開発し、ヒトで極めて有効なことを証明する うえで、決定的な役割を果たした。
 遠藤章博士は、1976年、6,000種のカビ菌類の産生する物質を調べて、青カビの一種であるPenicillium citrinumから得られた物質(ML-236B)が血中コレステロール値を下げることを発見した。続いて、その機序がコレステロール合成の律速酵素であるヒドロキシメチルグルタリル-CoA(HMG-CoA)還元酵素に強い親和性を持ち、拮抗的に強く阻害するためであることを明らかにした。この物質は、同じ頃にイギリス製薬会社ビーチャムの研究所でも見つけられてコンパクチンと名付けられていたが、ラットで血液中のコレステロール値を低下させないとして、研究は中止されていた。しかし、遠藤博士は、血中コレステロールの組成がよりヒトに近いイヌでは、この物質がコレステロール値を下げることを証明し、このことがヒトでも有効であることを証明するうえで大きな突破口となった。さらに遠藤博士は、共同研究により家族性高コレステロール血症の患者でML-236Bが血中コレステロール値を効果的に低下させることを証明した。
 その後、ML-236Bの系統の薬剤(スタチンとして総称される)が多くの製薬会社により製造され、心筋梗塞をはじめとする多くの血管障害性疾患の一次予防、二次予防に著しい効果があることが証明されるとともに、世界中で数え切れないほど多くの患者に用いられるようになっている。
 なお、遠藤博士のこれらの研究は、1985年にノーベル生理学・医学賞を受賞した米国のMichael S. Brown、Joseph L.Goldstein両博士によるコレステロール代謝に関するLDL受容体の研究にも極めて大きな貢献をなしたと考えられている。
以上のように、スタチンによる高コレステロール血症の治療効果が動脈硬化を背景とする血管障害性疾患を世界中で激減させることにつながった一連の研究において、遠藤章博士が決定的な役割を果たしており、医療への貢献は絶大なものがある。




 本研究の成果に対して、国際科学技術財団は、2006年、遠藤 章(株式会社バイオファーム研究所)に日本国際賞を贈った。

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キーワード

スタチン、心筋梗塞、脳梗塞、動脈硬化、血管障害性疾患、コレステロール、律速酵素、コンパクチン、高コレステロール血症、ML-236B
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