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京都国立博物館 平成知新館

外観夜景(建築ファサード)

写真1 外観夜景(建築ファサード)

研究(技術)の概要
 京都駅の東方、三十三間堂の北向いに位置する京都国立博物館平成知新館は、京都の様々なジャンルの国宝や重要文化財を含む貴重な文化財を最新の建築技術を駆使し、安全かつ魅力的に展示するための施設として既存の明治古都館(本館)に並んで建てられた。設計・施工あわせて16年の歳月をかけ2013年7月に竣工し、1年以上の準備期間を経て2014年9月13日に開館した。
 内部のデザインは、作品の保護を前提に、作品の魅力を引き出す照明デザインを最重要課題とし、様々な展示物に合ったきめ細やかな光の質を選択できるよう、フレキシブルで高機能の照明設備を整えているとともに、照明器具は建築に隠蔽され目立たないように配慮されている。
 また、ファサード(注)は行灯のように輝き、夜の京都の新たなシンボルとなっている。
2008年照明デザイン開始から竣工までの間にLED照明が急速に発達したため、施工段階まで照明デザインおよび器具設計の見直しを繰り返し、すべての展示照明を最新のLED照明によって実現した。

[解決すべき課題]
 作品のコンセプト:「展示物が主役となって観客に語りかける光」
作品が主役になるための照明デザインとは、以下の三つの項目が重要と考え計画を進めた。
(1)展示品保護を守りながら、低照度でも明るさに対する満足度を確保する。
(2)展示品の種類にあった最適な照明を選択できるフレキシビリティー。
(3)建築デザインを踏襲し、空間として違和感のない連続的な光環境をつくりだす。

[課題を解決するための手段と結果]
(1)紫外線や赤外線が少なく、作品保護に適しているLEDを全面的に採用した。
 実験により従来照明より低照度で明るさに対する満足感が得られることがわかった。
(2)紙、繊維、木、ガラス、金属、石など様々な素材に対応する、光の質調整可能な器具設計。
 立体、壁面、平面展示など、様々な展示形態に対応する照明システム設計。
(3)器具を建築に隠蔽し一体化することで視覚的ノイズを少なくした。
 照明器具の光学設計および多様なルーバーを駆使し、必要な光のみが空間に存在するようにした。鑑賞しやすい色温度に統一することで色温度のギャップをなくした。
  (展示と雰囲気を考慮し、全館3500Kに統一)

[効果・成果]
①おそらくこの種の展示施設では初めてとなる全LED採用。
②高天井部分にリモートコントロールスポットを採用し、照明調整の省力化を図った。(彫刻展示室等)
③全館トータル照明制御と作品個別照明調整が切り替えによって可能。
④展示室のスポットライトは天井に隠蔽され、スリットから光のみが出るようにデザイン。
⑤スポットライト調整時には、場所によって天井、ケース上部、ケース天井の一部が開放する。
⑥ショーケース内を含め基本スポットライトは統一され、必要に応じて自由な使いまわしが可能。
⑦ショーケースにはライン状ウォールウォッシャー、スポットライトを設置し、様々な展示に対応可能。
⑧壁ケース内には展示物説明書き専用照明があり、暗い展示でも判読が容易。
⑨建築のエレメントを演出する光を効果的に配置している。光壁、光すだれ、光天井など。
⑩室内の光が外部にもれることでファサードのライトアップを演出。

(注) ファサード:一般的には建物の正面をいうが、装飾的な面、堂々たる面などデザインとして重要な面にも用いられる。


 本研究の成果に対して、照明学会は、2015年、谷口吉生、岩井達弥に照明デザイン賞最優秀賞を贈った。

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キーワード

京都、博物館、照明デザイン、高機能照明設備、ファサード、行灯、LED、光壁、光すだれ、光天井
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