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直流送電の故障電流対策技術

  • 写真なし砂辺 欣也
  • 写真なし稲葉 次紀
ポストアークガス最上部の浮上特性

図1 ポストアークガス最上部の浮上特性

 超高圧送電系統では、雷などにより万が一故障が発生しても停電に至らないように再閉路保護方式を採用している。これは、故障で生じたアーク放電を遮断器により電源を切り離すことで消弧させた後に、短時間の内に系統に電圧を再度印加する(再閉路)という方式である。アーク放電は5,000°C以上と非常に温度が高く、アークが消弧した後も高温のガス(ポストアークガス)が存在している。一般的に、高温のガスは、常温の場合に比べてより低い電圧で電気的な絶縁が破壊しやすい。このため、再閉路の際に、ポストアークガスが残った状態で再閉路を行えば、絶縁が十分に回復していないため再びアーク放電が発生し再閉路が成功できない。ただし、ポストアークガスは、温度が高く軽いため浮上して故障箇所から遠ざかっていく。つまり、再閉路保護方式の成否は、故障箇所のポストアークガスの浮上特性によって支配される絶縁回復時間に関係するので、その特性を定量的に把握することは極めて重要である。

 本技術は、直流送電系統を対象として、アーク消弧後のポストアークガスの浮上特性と絶縁回復特性を実験的また理論的に解明したものである。実験では、アーク電流0.5~5kA、ポストアークガスの浮上高0.3~2mと広範囲にわたって貴重なデータが得られている。また、ポストアークガスの形状モデルを提案し、ポストアークガスの浮上が温度上昇による対流現象であることを理論付けている。さらに、これらの結果とポストアークガスの絶縁回復特性とから500kV直流送電系統の再起動時間は0.3秒が提案されている。

 本研究の成果に対して、電気学会は、1988年、砂辺 欣也(電力中央研究所)、稲葉 次紀(電力中央研究所)に電気学術振興賞(論文賞)を贈った。

文献

[1] 砂辺欣也, 稲葉次紀、大気中における直流kA級アークの電気特性と移動特性、1989年、電気学会論文誌 A、VOL. 109、95 (1989)
[2] 砂辺欣也, 稲葉次紀、直流kA級水平アーク消弧後のポストアークガスの浮上特性、1986年、電気学会論文誌 A、VOL. 106、428 (1986)
[3] 砂辺欣也, 稲葉次紀、直流故障アーク消弧後の絶縁回復特性(その1)-水平棒-棒ギャップの場合-、1985年、電力中央研究所研究報告685002 (1985)

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キーワード

直流送電、絶縁回復、ポストアークガス、再起動時間、直流送電
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