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Maxwell 応力法による誘電体中の空間電荷量の測定

  • 写真なし高田 達雄
  • 写真なし堺 孝夫
  • 写真なし鳥山 四男
装置図(左)と電極面の電荷密度測定結果(右)

図1 装置図(左)と電極面の電荷密度測定結果(右)

本業績の位置づけ

1970年代までは、電気絶縁材料の電気特性は交流課電に関する研究が主であり、電気抵抗率、誘電率、誘電損、絶縁破壊強度などで、何れも外部診断の評価であった。これに対して、直流高電圧課電においては空間電荷蓄積が起こり、これによる電界歪が生じ、設計電界から著しく外れることになる。従って、内部電荷分布、電界分布、電位分布に関する特性評価が必要になってきた。しかし、誘電体中に蓄積する電荷量を直接的に測定する方法は、当時まだ確立されておらず、わずかに電気光学効果の観測される物質における電界分布を求めた例や、ポッケルス効果を応用した素子を用いて素子の近傍の電界を求めた例があるだけであった。本業績で提案された技術は、電極に圧電素子を設置し、Maxwell応力を応用して誘電体中の空間電荷量を求める手法であり、材料内部の電荷分布を直接的に測定する技術のさきがけであった。


本業績の概要

本業績で提案された技術は、誘電体試料に直流電圧を印加してそのときの電極界面におけるMaxwell応力を水晶振動子により測定して電極界面における電界を求めている。そして正負の両電極面における電界の差から内部に蓄積されている電荷量も求めている。この方法の特色は直流印加電圧に高周波電圧を重畳させることにより検出素子としての水晶振動子を誘電体と電極の界面にはさむのではなく、電極の外側にはりつけて電極内面の電界に比例した振動子出力電圧が得られるように工夫がなされていることである。したがって内部の電界を乱すことなく電極界面の電界および内部に蓄積されている電荷量を求めることに成功している。


本業績の価値

本業績で提案された技術は、それまで提案されてきた圧力波法に代表される絶縁材料中の空間電荷分布測定法とまったく異なる独創的な手法である。この技術はその後改良され、パルス静電応力(Pulsed Electro-Acoustic: PEA)法として、現在最も広く誘電体材料中の電荷分布測定法として使用される手法となった。PEA法の最大の特徴は、試料内部に発生する圧力波を、電極を介して圧力波信号として検出するために、電気的雑音に強く、高い測定精度が得られることと、絶縁破壊などが生じるような高電界における測定などにおいても測定ができるので高電界、高温などの測定環境に応じて測定が可能であることなどが挙げられる。この特徴は、本業績で提案された技術にすでに取り入れられている。PEA法が誘電絶縁材料の物性研究に与えている大きな寄与を考慮すれば、その手法開発の基礎となった本業績の技術は大きな価値がある。

 本研究の成果に対して、電気学会は、1981年、高田 達雄(武蔵工業大学) 、堺 孝夫(武蔵工業大学) 、鳥山 四男(武蔵工業大学) に電気学術振興賞(論文賞)を贈った。

文献

[1] 高田達雄 堺孝夫 鳥山四男、Maxwell 応力法による誘電体中の空間電荷量の測定、1979年、電気学会論文誌A,99巻,10号, pp.451-457

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キーワード

電荷分布推定、Maxwell 応力、誘電・絶縁材料、電磁界理論・解析
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