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ホッピングモデルによるイオン空間電荷分極緩和の理論解析

  • 写真なし岩本 光正
  • 写真なし日野 太郎
TSC曲線におけるCピークの活性化エネルギー

図1 TSC曲線におけるCピークの活性化エネルギー

本業績の位置付け

絶縁体中の空間電荷現象は材料の電気的特性に大きな影響をおよぼすことから非常に注目を集めた現象である。こうした現象は、拡散とドリフトからなる電流連続の式にポアソンの式で空間電荷電界を考慮して扱うことができる。しかし、理論的に扱うことはきわめて困難であり、直接的に電荷分布を測定する手法がなかった当時は、数値解析法が有力な手段であった。本業績は、当時空間電荷測定法として有力な手段であった熱刺激電流の測定結果を、ホッピングモデルを用いて解析することにより、定性的であった空間電荷特性を定量的に解析することを試みた。


本業績の概要

絶縁体中の空間電荷ならびにその輸送の現象は、拡散とドリフトからなる電流連続の式にポアソンの式を用いて扱うことができるが、現実には理論的に扱うことはきわめて困難で数値解析法が有力な手段であった。しかし、この数値解析法は境界条件や差分式への以降などの点で広範に空間電荷現象を扱うことは困難である。本業績のホッピングモデルのよる方法は、連続したポテンシャルの山をイオンが越えて移動する伝導現象を基礎としていて、空間電荷電界の効果をポテンシャルの山の高さの変歪として反映させ、直接に空間電荷現象を記述する方程式を導いて解くものである。本業績により見出されたこの方程式は、イオン伝導現象より出発しているので、境界条件の設定も物理条件を考慮して容易に扱える。さらにきわめて重要な点は、イオン伝導、電子性伝導、分極などがすべてこの方程式で記述され、過渡電流・空間電荷制限電流・誘電分散・熱刺激電流など次元を問わず容易に扱われ、空間電荷を考慮した絶縁設計も可能であることである。


本業績の価値

空間電荷分布を直接的に測定する手法がなかった当時では、空間電荷分布を過渡電流・空間電荷制限電流・誘電分散・熱刺激電流などの各種測定結果から推定するしかなかったが、推定はおおむね定性的であり、理論的な解析に基づく定量的な検証はなされていなかった。空間電荷分布が直接測定できる今日においても、これらの測定結果と空間電荷分布を結びつける定量的な解析はなされておらず、本業績により提案された手法は、空間電荷分布とこれらの測定結果を関係付けるための論理的な裏づけとなりうる。

 本研究の成果に対して、電気学会は、1986年、岩本 光正(東京工業大学)、日野 太郎(東京工業大学)に電気学術振興賞(論文賞)を贈った。

文献

[1] 岩本光正、日野太郎、ホッピングモデルによるイオン空間電荷分極緩和の理論解析、1987年、電学論A、103巻7号、395-401

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キーワード

誘電体材料、ホッピングモデル、熱刺激電流、イオン空間電荷分極、誘電・絶縁材料
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