1. HOME
  2. 電気・情報関連(専門)
  3. 研究情報(登録番号330)

多変数回路および時変回路構成に関する研究

  • 写真なし古賀 利郎
 通信通信ネットワークの高度化、多様化に伴って、アナログおよびディジタルの信号処理回路も絶えず変化しつつあり、これに対処する回路設計が必要となる。これらの設計の基礎をなす回路構成理論は、回路とシステムの分野の中心テーマの一つとして、理論・実用両面の興味から盛んに研究され続けてきた。構成論で扱う対象をごく大雑把に分類すると、[1](1変数)受動集中定数回路、[2]多変数受動集中定数回路、[3]分布定数回路、[3]'分布集中混在回路、[4]線形時変回路、[5]能動回路、[6]ディジタル信号処理回路(時変を含む)、[7]非線形回路、などとなる。

 本研究では、上記の各回路の構成に関する基礎研究を長年精力的に行っており、中でも、多変数受動集中定数回路、線形時変回路の構成に関する成果は極めて顕著な業績である。

 本研究ではまず、多変数回路と密接な関係をもつところの一つのパラメータを含む可変2端子網について、構成のための必要十分条件を明らかにした。次いで、当時提案されて間もなかった多変数回路について研究を行い、2変数無損失1ポートおよび相反・非相反2変数無損失nポートの構成理論(構成できるための必要十分条件が、尾崎教授らの定義したリアクタンス関数およびリアクタンス行列であることの証明)を与え、非常に難問と見なされていたこの問題を一挙に解決した。上記の結果は、1変数リアクタンス回路の結果が2変数の場合に拡張できることを示したものであり、この分野の研究に対して画期的なものであった。

 更に、n変数回路でかつ損失のある最も一般的な場合への上記の結果の拡張を検討し、構成条件のほか多くの有用な定理を示した。またこれらの結果を縦続形分布集中混在回路の構成問題に応用し、多変数回路の有用性を示した。

 さらに、信号処理アルゴリズムの研究において、信号が非定常である場合にも従来定常過程的な取扱いがなされているのに対し、本来の非定常確率過程としての取扱いをすべきであるとの観点から、線形時変回路に関する興味深い研究を行った。まず、時変回路のインパルス応答を2次元ラプラス変換し、この級数展開の収束性を吟味することにより、元の時変特性の積分作用素による厳密な表現式を求めた。この新しい表現式は、時変回路の一構成法にも対応し、今後の時変回路研究に大変有用であると思われる。次に、この回路が有限次数で構成できるための条件を求め、更に、時変回路の縦続構成、部分分数形構成、格子形構成が、時不変回路の場合と同様に可能なことを見い出した。以上の結果は直ちに離散系に翻訳でき、ディジタル信号処理の研究に適用できる。例えば、有名なLevinsonアルゴリズムの反射係数を陽な形で導出することも可能となった。このことから、この研究は非定常確率過程に対するディジタル信号処理の基礎理論ともなり得ることが期待される。

以上の一連の研究は回路とシステムおよび信号処理の分野に幾多の新局面を拓いた。

 本研究の成果に対して、電子情報通信学会は、1988年、古賀 利郎に業績賞を贈った。

文献

[1] 大野克郎、古賀利郎、可変二端子網の合成、1962年、電気通信学会誌, vol. 45, no. 12, Dec. 1962.
[2] 古賀利郎、Synthesis of finite passive $n$-ports with prescribed two-variable reactance matrices、1966年、IEEE Transactions on Circuit Theory, vol. CT-13, no. 1, Mar. 1966
[3] 古賀利郎、Synthesis of finite passive $n$-ports with prescribed positive real matrices of several variables、1968年、IEEE Transactions on Circuit Theory, vol. CT-15, no. 1, Mar. 1968.

関連する研究を検索

分野のカテゴリ

電子・デバイス
(その他(電子・デバイス))

関連する出来事

データなし

世の中の出来事

1988
リクルート事件が政治問題化する。
1988
青函トンネルが開業する。

Webページ

データなし

博物館等収蔵品

データなし

キーワード

受動多変数回路構成の必要十分条件、非定常を扱う時変回路、多変数リアクタンス回路、可変2端子網、分布・集中混在回路
Page Top