1. HOME
  2. 電気・情報関連(専門)
  3. 研究情報(登録番号329)

2相クロックスイッチトキャパシタ回路の構成

  • 写真なし西 哲生
 キャパシタ、スイッチ、演算増幅器から成る「スイッチトキャパシタ回路」(SC回路)は、伝送特性がキャパシタの容量比で決まるので、信号成分のうち特定範囲の周波数を取り出すフィルタ(濾波器)の集積化には最適な回路形成となる。このSC回路については、用いるクロックの相数や厳密構成か否かにより種々の構成法が提案されていたが、従来の方法はほとんどLCフィルタディジタルフィルタを基礎とした置換型のものであった。しかしこれではSC回路の一般的構成法とはいえず、演算増幅器の個数を制限した場合の特性などの基本的問題はほとんど検討されていなかった。

 そんな状況を突破したのが、本研究で、実用上重要な2相クロックSC回路の厳密構成に関する研究であった。SC回路の一般的等価回路が導かれ、これに基づいて幾つかの基本的問題が解明された。まず2相クロックキャパシタは(変数変換、インピーダンスレベルの変換のもとで)分布定数素子と等価であることを明らかにし、SC回路に対して演算増幅器と分布定数素子で構成される等価回路の一般形を導いた。この等価回路の一般形から、以下のことが分かった。
 (1) 一般のSC回路の構成は、演算増幅器を含む分布定数回路の構成に帰着できる。
 (2) 演算増幅器を含まないSC回路の構成は、受動分布定数回路の構成に帰着できる。
 (3) すべての分布定数素子を出力端開放または短絡した特殊な場合、等価回路は能動LC回路となり、よく知られたLC→RCの変数変換により直ちに能動RC回路にも変換できるので、膨大な構成法が知られている能動RC回路の構成法がSC回路の構成に適用できる。
 (4) 演算増幅器を用いないSC回路の構成には、変成器を用いない2種素子回路の構成法が利用できる。
 以上の事実に基づき、インピーダンス関数、電圧伝送関数が演算増幅器を含まないSC回路により実現されるための必要十分条件を導き、さらに任意の電圧伝送関数が1個の演算増幅器を含むSC回路により実現できることを明らかにした。

 この研究ではSC回路の一般的等価回路を導くとともに、幾つかの基本的問題に解を与え、またこの等価回路は、浮遊容量の影響を受けないSC回路の一般的検討を行う基礎となった。

 本研究の成果に対して、電子情報通信学会は、1984年、西 哲生(九州大学)に論文賞を贈った。

文献

[1] 西 哲生、2相クロックスイッチトキャパシタ回路の構成、1983年、電子通信学会論文誌(A), vol. J66-A, no. 3, pp. 171-178, Mar. 1983

関連する研究を検索

分野のカテゴリ

電子・デバイス
(基礎となる技術)

関連する出来事

データなし

世の中の出来事

1984
グリコ・森永事件が起こる。

Webページ

データなし

博物館等収蔵品

データなし

キーワード

スイッチトキャパシタ回路、統一的合成、分布定数回路、能動RC回路
Page Top