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アナログ符号理論に基づく誤りを含む投影データからの画像再構成

  • 写真なし熊澤 逸夫
  • 写真なし田島 博
  • 写真なし小川 英光
断層像と投影データ

図1 断層像と投影データ

実験に用いた断層像

図2 実験に用いた断層像

正確な投影データから復元した断層像

図3 正確な投影データから復元した断層像

ランダムな方向に誤りが生じた投影データから復元した断層像

図4 ランダムな方向に誤りが生じた投影データから復元した断層像

連続した方向に誤りが生じた投影データから復元した断層像

図5 連続した方向に誤りが生じた投影データから復元した断層像

 コンピュータ断層撮影法(コンピュータトモグラフィ=CT)は、X線やNMRを使って人体の断層像を作るとき、複数の方向に投影したデータを計測し、コンピュータで画像を再構成する。この投影データの低周波成分には冗長な情報が含まれているが、この冗長性を活用すれば投影データに含まれるノイズや誤りを抑制・訂正して、断層像の低周波成分を正しく復元することができる。ただし、ノイズ抑制や誤り訂正のアルゴリズムを具体的に導き出すのが難題であった。

 一方、リードソロモン符号や、それをアナログ符号に拡張した離散フーリエ変換符号(DFT符号)は、ある関数のいくつかの点における値を符号語とするものと考えられる。また、復号とは本質的に一種の補間であり、その誤り訂正のアルゴリズムはすでに発見されており、それを基にした研究が各所で進められていた。

 そしてようやく1984年から85年にかけて、日本の研究者によって「投影データの冗長性を利用したCT画像画質改善への試み」「投影データの冗長性によるCT画像再構成式のノイズ感度低減効果について」 と題する論文が発表された。そのカギは、投影データが内在する冗長性がちょうどDFT符号と等価な構造をもつことへの着目であった。もちろん投影データからの画像再構成には特有の定式化が必要だが、それをCTの画像処理とアナログ符号理論という意外な組み合わせで突破したのである。

 この論文では、CTにおける投影データをDFT符号の符号語に定式化できることが示され、この符号の復号により、投影データに含まれる誤りや雑音を除去・軽減する方式を提案している。またDFT符号に関しても、復号の安定性の評価法を利用した新たな復号法を考案し、雑音や誤りを含む投影データからの画像再構成の有効性をシミュレーションによって明らかにした(図1図2図3図4図5参照)。

 誤り訂正符号は、通信路上の誤り訂正ばかりでなく、暗号やパターン認識、データ圧縮、変復調、故障検出、ネットワークの設計などにも応用できる。

 本研究の成果に対して、電子情報通信学会は、1990年、熊澤 逸夫、田島 博、小川 英光に論文賞を贈った。

文献

[1] 熊沢逸夫,飯島泰蔵、投影データの冗長性を利用したCT画像画質改善への一試み、1984年、電子通信学会論文誌(D),Vol.67-D, No.11, pp.1340-1347
[2] 熊沢逸夫,飯島泰蔵、投影データの冗長性によるCT画像再構成式のノイズ感度低減効果について、1985年、電子通信学会論文誌(D),Vol.68-D, No.5, pp.1095-1102
[3] 熊沢逸夫,小川英光、擬似双直交性理論によるアナログ符号の対雑音安定性の評価、1989年、電子情報通信学会論文誌(A),Vol.J72-A, No.2, pp.406-413

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