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我が国最初の燃料電池発電プラント(30kWリン酸型)の完成

リン酸型燃料電池の原理

図1 リン酸型燃料電池の原理

燃料電池システムの基本構成

図2 燃料電池システムの基本構成

30kW燃料電池発電装置の外観

図3 30kW燃料電池発電装置の外観

30kW燃料電池

図4 30kW燃料電池

30kW燃料電池発電システム用の改質装置

図5 30kW燃料電池発電システム用の改質装置

プラントの仕様と運転実績

表1 プラントの仕様と運転実績

 燃料電池は、水素(燃料)の持つ化学エネルギーを電気エネルギーに直接変換する“化学電池”であるが、通常の電池とは異なり、外部から燃料を与えることにより電気を作り続ける“発電装置”である。わが国ではエネルギー資源の高効率利用と低環境負荷が期待できる発電技術として開発が進められてきた。中でもリン酸型燃料電池は、電解質として濃リン酸水溶液を用いて180~190度ほどの温度で運転され、化石燃料改質ガスにも対応できるため、最も実用化が近い燃料電池といえる。

 日本初の交流出力27kW(燃料電池直流出力30kW)のリン酸型燃料電池は、1982年に完成して翌1983年12月まで丸1年間、関西電力㈱堺港発電所内で長期実証試験が行われた。この燃料電池プラントは国産としては当時、最大容量であり、実電力系統に接続して遠方監視制御による3500時間に及ぶ無人運転を達成した点で世界的にも前例のないものであった。

 この発電プラントの開発は、大型燃料電池を設計・製作する技術だけでなく、燃料改質装置や交直変換装置などと組み合わせた発電プラントとして、実用的に機能させるための計測制御システムにも重点が置かれた。それに加えて、FMEA手法を用いたシステム解析により保安システムについても十分に考慮された。また規模は小さくても、システムの基本に関してはいっさい省略せずに設計したため、そのままで電気事業用発電所に適用できる機能を備えており、自家用発電所として通商産業省の公式審査にも合格している。

 実証試験では、ワンタッチ操作による全自動起動(起動時間4時間以内)、全自動停止(30分以内)、25~100%の負荷変動への追従時間20秒を実現するとともに、累積運転時間約3500時間、発電電力量 約81,000kWhを達成し、総合効率24%という結果が得られた。また約1年の試験期間中、保安上問題となるような故障は発生せず、保安面の安全性も確認された。

 ここで実証された各種の技術は、将来の本格的燃料電池発電プラント開発のために不可欠なものであり、その後の実用化のための基礎研究の充実および国産技術のレベルアップに大きく貢献した。


文献

[1] 多田稔、国産技術による燃料電池、1983年、エネルギーフォーラム誌

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キーワード

燃料電池、リン酸型、遠方監視制御、長期実証試験、燃料電池
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