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半導体イオンセンサの基礎研究

  • 写真なし松尾 正之
  • 写真なし江刺 正喜
ISFETの原理図

図1 ISFETの原理図

先端10ミクロンのpH用マイクロISFETの構造

図2 先端10ミクロンのpH用マイクロISFETの構造

マイクロゲートISFETのpH特性

図3 マイクロゲートISFETのpH特性

 イオンセンサとは、液中の特定イオンに選択的に応答し、その濃度に対応する電極電位を発生させるセンサである。化学工業や臨床医学の分野で広く用いられており、早くからその小形化が要望されていた。しかし通常のイオンセンサを単に小形化したのでは、電極インピーダンスが非常に高くなって雑音などの不安定性が増し、かつ応答時間が長くなってしまうため、実際の測定ではほとんど使い物にならなかった。

 この難題を解決したのは、IC技術を応用した「超小形イオンセンサ」(ISFET)の考案であった。その原理は、MOS電界効果トランジスタ(MOSFET)のゲート電極として金属を用いず、ゲート絶縁膜を直接液中に浸し、溶液-絶縁膜間に発生する界面電位によって生じるドレーン電流の変化からイオン濃度を測定する。言ってみれば、従来のイオン電極と高入力抵抗増幅器とを集積化したものである。

 ISFETの特徴は、 (1)超小形(数十~数百μm)で多重化が容易であり、(2)応答時間が極めて短く(100ms以内)、(3)出力インピーダンスが極めて低く(数kΩ程度)、(4)イオン感応膜として理想的な絶縁膜を使えることなどである。これによってイオンセンサの性能は飛躍的に向上した。

 ISFETの構造を見ると、まずSi基板をプローブ状に3次元加工し、その先端にFET(電界効果トランジスタ)センサを作る。そして全体を耐水性の高いSi3N44膜 (厚さ約1,000Å)で覆い、その上にイオン感応膜を付加した形になっている。

 イオン感応膜については主として無機絶縁膜に絞り込んで研究が進められた。その結果、気相成長法で製作したAl2O3,Ta2O5膜が水素イオンセンサとして極めて優れていること、またNaを含んだアルミノシリケートを用いると従来のイオン電極より特性のよい「Na,Kイオンセンサ」が得られることが明らかになった。

 さらにISFETの医学への応用も試みられて、動物の血管内や組織液中のイオン濃度を連続測定に成功し、実用化の可能性を確かめた。

 本研究の成果に対して、電子情報通信学会は、1980年、液-絶縁膜間の界面現象の研究に道を開き、さらに医用電子工学や半導体デバイス工学の分野にも進展をもたらした松尾 正之、江刺 正喜に業績賞を贈った。

文献

[1] 庄子 習一,江刺 正喜,松尾 正之、生体用マイクロISFETの試作、1985年、電子通信学会論文誌,Vol. J68-C, pp. 628-634.
[2] 庄子 習一,江刺 正喜,松尾 正之、M2O-Al2O3-SiO膜を用いたpNa, pK用ISFET、1985年、電子通信学会論文誌, J68-C, pp. 475-481
[3] Y.Ohta,S.Shoji,M.Esashi and T.Matsuo、Prototype sodium and potassium sensitive micro ISFETs、1982年、Sensors and Actuators,2(4), pp. 387-397

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