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フォトニック結晶工学に関する先駆的研究

  • 野田  進野田 進
 野田進氏は,世界初となる光波長帯での完全3 次元フォトニック結晶の実現,2 次元フォトニック結晶における上下方向の光閉じ込めの概念の提案・実証と世界最大のQ 値をもつ光ナノ共振器の実現,さらには,2 次元結晶のバンド端共振効果を用いた大面積コヒーレントレーザの概念の創出・実証・実用化など,フォトニック結晶工学の創出・発展において卓越した貢献をなした.
 自在な光制御が期待される完全3 次元結晶の実現のためには,光の波長程度の周期をもつ3 次元光ナノ構造の形成が不可欠であるが,当初は,光波長域では結晶そのものが存在しなかった.野田氏は,3 次元結晶の設計と作製に果敢に挑戦し,独自の精緻なロッド積み上げ法を開発して,光波長帯(光通信帯)において,完全バンドギャップをもつ3 次元結晶の実現に世界で初めて成功した.さらに,この結晶に発光体を導入し,自然放出制御にも初めて成功した.野田氏のこの研究は,結晶そのものの実現はもとより,それによる自然放出制御の理論予測をも実証したという点で,象徴的かつ美しい科学的成果として世界中から高く評価されている.
 一方,作製の観点からは,2 次元結晶が魅力的であるが,上下方向の光閉じ込めが不完全で,光制御が困難であると考えられていた.野田氏らは,上下方向の強い閉じ込めが2次元面内での格子の精密調整によって得られることを発見して世界を驚かせた.また,2 次元結晶にナノ共振器・導波路を導入することで,面内を伝搬(でんぱん)する光を面垂直方向にも取り出せることをも示した.これらの発見により,2 次元結晶における光制御(特に,高Q値共振器)の競争が国内外で激化したが,野田氏は持ち前の科学的洞察力と実行力でトップ集団を牽引し,今では1000 万にも迫る驚異的な高Q値を得ることに成功している.最近,半導体物理学の分野では励起子やポラリトンを用いた原子光学的研究が脚光を集めているが,このような基礎研究の実施においても野田氏らが提示してきた2 次元結晶の設計・作製指針が不可欠なものとなっている.
 さらに野田氏は,2 次元結晶の産業応用に向けた研究においても世界をリードする成果を挙げている.特筆すべきは,高ビーム品質をもつワット級半導体レーザの実現である.従来の半導体レーザでは,光出力を増大しようとして,出射面積を大きくすると出射端でレーザ光の波面が変形してビーム品質が著しく劣化するという問題があった.一方,フォトニック結晶のバンド端共振効果を利用する野田氏の発明では,出射面で一様な波面が得られるため,出射面積を大きくしてもビーム品質が劣化せず,増大した出力を一点に集光できることとなる.この画期的な半導体レーザは,極最近,産学共同により,実用化が決定するに至っている.

 本研究の成果に対して、応用物理学会は、2014年、野田 進(京都大学)に応用物理学会業績賞(研究業績)を贈った。

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キーワード

フォトニック結晶工学、光ナノ共振器、バンド端共振効果、大面積コヒーレントレーザ、3次元結晶、ワット級半導体レーザー
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