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酸化物薄膜材料に関する先駆的研究

  • 鯉沼 秀臣鯉沼 秀臣
 鯉沼秀臣氏は,真空機器を用いた酸化物薄膜の合成技術としてコンビナトリアル手法を確立し,それまでバルクの物質が主流であった酸化物材料のナノ薄膜化と集積化を実現した点に独創性・先駆性がある.これにより,酸化物新電子機能の発見とデバイスへの応用が大きく開け,「酸化物エレクトロニクス」という大きな潮流の創造と発展に貢献した.
 鯉沼氏は,有機化学合成手法であるコンビナトリアル・ケミストリーの概念を,真空プロセスによる薄膜合成に応用し,高速で効率的な材料開発の手法として確立した.マスクを用いたり,基板温度に傾斜をかけるなどの,成膜プロセスに整合した技術は,従来の化学合成の概念を超えた新概念の提唱といえる.この技術を用いて,成膜条件を短期間で決定することに成功し,世界に先駆けた酸化物高温超伝導体の薄膜合成や,透明磁性体の発見,透明導電性薄膜の作製等を行った.組成や反応条件をデザインし,ナノ構造を制御した機能性酸化物薄膜を一括合成することで,国際的にインパクトのある論文を数多く発表した.コンビナトリアル技術は,多元系の酸化物材料を網羅的に探索する際,成膜パラメーターを系統的に制御することによって最適な条件を短時間で見出す技術として,今日広く知られている.鯉沼氏は,この手法を提唱することで,応用物理学会における酸化物エレクトロニクスという新しい分野の創出と発展に大きな貢献をした.
 現在,誘電体,メモリ材料,LED,太陽電池などに用いられる様々な薄膜材料の探索研究や産業応用に,本技術の適用が拡大しており,今後も酸化物以外の材料合成も含め,幅広い分野への応用展開が期待できる.鯉沼氏は2007 年に自らベンチャー企業を設立し,産業界との連携や技術移転にも積極的に取り組んでいる.
 鯉沼氏は数多くのプロジェクトを推進するリーダーとして学生や共同研究者を指導し,これらの研究成果に結び付けた.その若手研究者が現在,世界的に活躍する人材となっていることも,候補者の学界レベルでの貢献度の広さ・高さを示している.
 以上のように鯉沼氏は,酸化物薄膜材料を系統的に研究開発する手法として,コンビナトリアル技術を世界に先駆けて提唱・実践し,酸化物エレクトロニクスという新しい分野の創出と発展に多大な貢献をした.酸化物薄膜材料は,広範な機能を有する材料群であり,基礎科学のみならず,今日の様々な産業への応用が進展していることから,将来的な展開にも期待がもたれる.本技術を用いることにより,世界的な発見も多数なされており,これらの成果をもたらした数々の研究プロジェクトの推進と,若手研究者の指導育成という総合的観点からも,鯉沼氏が応用物理学会に果たした貢献は極めて大きい.

 本研究の成果に対して、応用物理学会は、2013年、鯉沼 秀臣(東京大学)に応用物理学会業績賞(研究業績)を贈った。

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キーワード

酸化物薄膜材料、ナノ薄膜化、酸化物エレクトロニクス、酸化物高温超伝導体、透明磁性体、透明導電性薄膜、コンビナトリアル技術、酸化物エレクトロニクス
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