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量子ドットレーザの先駆的研究

  • 荒川 泰彦荒川 泰彦
 荒川泰彦氏は,半導体において電子を3 次元的に閉じ込める量子ドット構造に関する独創性に富んだ研究を世界に先駆けて推進し,量子ドットレーザの実現とその産業展開,ならびに量子ドットを応用した量子光情報デバイスなどの発展に卓越した貢献をなした.
 荒川氏は,1982 年に半導体量子ドット構造の概念と,それを発光体とした半導体レーザの先駆的な提案を共同で行い,優れた閾値電流の温度安定性など,極めて高性能な半導体レーザが実現可能であることを世界で初めて理論予測した.この発表論文は世界的にも広く認知され,それ以降半導体量子ドットの研究が始まった.しかし,量子ドットレーザの優れた諸特性が荒川氏らにより理論的に示唆されても,その形成手法やデバイスとしての完成度を達成するためには,多くの努力が必要とされた.荒川氏はこの極めて高性能なレーザの実現に向けて,形成プロセス,物性,デバイス物理を含む総合的な研究を遂行し重要な研究成果を達成した.さらに,産業界との強い連携の下,高品質な量子ドットの作製技術を確立し,2004 年には温度無依存で高速変調可能な量子ドットレーザを世界に先駆けて実現した.荒川氏は,自らこの研究分野を先導する一方,世界で初めて量子ドットレーザを製品化するための企業の設立にも協力し,その産業展開においても多大な貢献をなした.このように量子ドットレーザの提案から,実用化へ至るまで,荒川氏の洞察力・指導力が極めて大きく寄与している.
 さらに荒川氏は量子ドットの優れた物性・機能を活かし,量子情報技術用の単一光子発生素子,次世代電子・光融合集積素子ならびに太陽電池などへの幅広い応用技術にも最先端で取り組み,これらの研究分野に新しい道を切り開きつつある.また,物性研究においても,半導体微小共振器における励起子と光子のポラリトン状態の発見や,単一量子ドットとフォトニック結晶共振器の強結合状態でのレーザ発振の観測など優れた成果を出し続けてきた.
 以上のように,荒川氏はナノフォトニクスとりわけ量子ドットレーザの世界的な先駆者であり,その理論予測から,優れた特性の実証,さらには新しい応用分野の開拓など幅広い活躍をなしてきた.さらに,このデバイスの産業化を図るべく企業の立ち上げに多大な貢献をなすなど,学術面のみならず産業貢献においても顕著な功績をなしてきた.また,量子ドットをはじめ半導体ナノ構造の光電子相互作用に関する物性研究においても先駆的な成果を達成し,この基盤技術の進展に大きく寄与してきた.

 本研究の成果に対して、応用物理学会は、2013年、荒川 泰彦(東京大学)に応用物理学会業績賞(研究業績)を贈った。

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キーワード

量子ドットレーザ、量子光情報デバイス、半導体レーザー、ナノフォトニクス、光電子相互作用
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