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高電子移動度トランジスタ(HEMT)の発明と開発

  • 三村 高志三村 高志
 三村高志氏は、1979年、バンドギャップの異なる2種の半導体間に形成したヘテロ接合界面に高密度の2次元電子ガスが形成されることを利用し、電子走行層が不純物から空間的に分離され、高い移動度が実現できる、新しい概念の電子デバイスを考案、これを特許出願するとともに、実際の試作開発を進め、1980年には、「高電子移動度トランジスタ(HEMT)」として、JJAPに最初の論文を発表した。この論文は、ヘテロ接合を利用した電界効果素子を世界で初めて実現したものとして、JJAPの論文としてはじめてInstitute for Scientific InformationのCitation Classicに選定され、きわめて高い評価を得ている。
 氏は、その後も、HEMTの実用化に向けた研究開発を主導され、マイクロ波・ミリ波帯における低雑音増幅器としての製品化に大きく貢献した。1985年に電波望遠鏡用の低雑音受信機としてはじめて製品化されたHEMTは、未知の星間分子を発見するなど、電波天文学の進歩に寄与した。
 HEMTは、当初のAlGaAs/GaAs系からInGaP/GaAs系、InAlAs/InGaAs系、さらにはこれらの擬似格子整合(pseudomorphic)系へと進化を続けており、その優れた高速、低雑音特性から、衛星放送受信機や携帯電話機、カーナビゲーション受信機、ミリ波自動車レーダなどIT社会を支える基盤技術として広く使われている。さらに最近では、AlGaN/GaN系やひずみSi/SiGe系など将来の多様なニーズに向けた開発が進展しており、今後いっそうの市場拡大が期待され、産業的観点からの貢献は極めて大きい。そして、アメリカのクリントン政権が2000年1月に発表したNational Nanotechnology Initiativeにおいて、ナノテクノロジーの成功例の一つにHEMTがあげられ、ナノテクノロジーが世界的な注目を集める一翼を担った。さらに、HEMTの発明は、MBEやMOCVDなど、原子層オーダの精度で結晶組成を変化させ得る薄膜成長技術の進展を加速させ、その後の、化合物半導体を用いた電子デバイス、光デバイス技術の発展に大きな貢献を成した。また、これらのデバイス技術の進展に触発される形で、メゾスコピック系物理の理解が大きく進んだことを考えれば、学術的波及効果も極めて大きいと言える。

 本研究の成果に対して、応用物理学会は、2003年、三村 高志(富士通研究所)に応用物理学会業績賞(研究業績)を贈った。

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キーワード

高電子移動度トランジスタ、HEMT、ヘテロ接合、電界効果素子、低雑音増幅器、電波望遠鏡、衛星放送受信機、ナノテクノロジー、化合物半導体、電子デバイス、光デバイス
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