1. HOME
  2. 物理関連(専門)
  3. 研究情報(登録番号3104)

酸化物超伝導体の先駆的研究

  • 田中 昭二田中 昭二
 20世紀初頭に発見された超伝導現象は、エネルギー革命につながるさまざまな応用の可能性を秘めているが、1970年代までは絶対温度20数K以下の極低温の世界でしか起こらない現象であった。田中昭二氏は、1975年より、それまでの金属系超伝導体の臨界温度の限界を超え得る物質として、世界でも研究例があまりないBa-Pb-Bi-Oなど酸化物超伝導体にいち早く注目し、その研究に取り組んだ。酸化物超伝導体には、絶縁体の母物質にキャリアをドーピングすることにより超伝導現象が発現するなど、氏がそれ以前に長年取り組んできた半導体材料とある意味で類似の性質があることなどを明らかにすると共に、国内で酸化物超伝導材料研究の新領域を築き、その後の高温超伝導体研究で日本が世界をリードする基盤を作った。
 1986年にBednorzとMullerが、LaBaCuO系酸化物において低温での電気抵抗の異常な低下を観察し、超伝導体としての可能性を指摘した直後には、この酸化物が真に電気抵抗のゼロとマイスナー効果を示すことを見出すとともに、その組成や結晶構造を解明し、(LaBa)2CuO4 が真の高温超伝導体であることを、JJAPを通して世界に広く発信した。この研究は、BednorzとMullerの観測が、重要な発見であることを確定したものであり、その後の高温超伝導体の発展に極めて重要な役割を果たした。当時、氏の研究グループによる論文を発端として刊行されたJJAP高温超伝導特集号は、世界から大きな注目を集めることになった。またこの時、氏が提唱した新規物質の超伝導性に関する厳格な判断基準は、「田中クライテリオン」として、世界の基準になっている。その後、酸化物系物質は、超伝導性に留まらず強誘電体や磁性材料など多様な展開を示しているが、氏の先駆的な研究は、これらの発展の基礎を築く上でも大きな貢献をなした。また、田中氏は高温超伝導体の社会での活用を目指した実用化研究でも先見的な指導力を発揮し、国内の産・官・学の多くのプロジェクトや委員会を通し、研究者・技術者の育成と超伝導産業の新領域の開拓に大きく寄与してきており、最近の超伝導バルク磁石を用いた水浄化装置、高温超伝導線材を用いた結晶引き上げ装置およびリニア用のマグネットの開発などにすでに一部結実しつつある。さらに、バルク磁石、線材、電子デバイスなどの超伝導応用分野における国際的な指導者としても卓越した貢献をなしている。

 本研究の成果に対して、応用物理学会は、2002年、田中 昭二(財団法人国際超電導産業技術研究センター)に応用物理学会業績賞(研究業績)を贈った。

関連する研究を検索

分野のカテゴリ

物理
(物理)

関連する出来事

データなし

世の中の出来事

2002
日韓で第17回サッカーワールドカップが開催される。
2002
欧州単一通貨「ユーロ」が12カ国で流通開始する。

Webページ

データなし

博物館等収蔵品

データなし

キーワード

酸化物超伝導体、臨界温度、Ba-Pb-Bi-O、高温超伝導体、LaBaCuO系酸化物、田中クライテリオン、超伝導バルク磁石
Page Top