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カーボンナノチューブの先駆的研究

  • 飯島 澄男飯島 澄男
 飯島澄男氏は、1991年、高分解能電子顕微鏡を用いてナノメートルオーダーの直径を持つ多層の円筒状炭素構造を見出し、それが炭素原子の螺旋性を含むグラファイト円筒構造からなることを電子線回折により示して、カーボンナノチューブと呼ばれる新たな炭素形態(1次元構造)の存在を明らかにした。さらに1993年にはIBMのBethune氏と同時に、単層のカーボンナノチューブを発見し、その物性に関し、多くの研究者の興味を引きつけた。炭素の結晶構造体としては従来、3次元構造体であるダイヤモンド、2次元構造体であるグラファイトが知られていたが、1985年、Kroto、Smalley両氏達が炭素原子60個からなるサッカーボール状のC60を発見、上記以外に新しい構造があることを示し、1996年にノーベル化学賞を受賞している。飯島氏は更に別の形態の炭素ナノ構造体が存在することを示したわけである。その後も飯島氏は、カーボンナノチューブの成長モデルや折れ曲がりモデルの提唱、さらにはカーボンナノホーンの合成などカーボンナノチューブ関連構造の多様性や製造プロセスを明らかにするなど、カーボンナノチューブ関連の研究と世界的な隆盛に対し、先導的貢献を果たしている。
 カーボンナノチューブはその特異な結晶構造故に、ユニークな機械的、電気的、化学的性質を有している。特に、その直径、あるいはチューブ構造の螺旋度に応じて、半導体から金属まで電気伝導度が変化し、金属相では銅よりも高い伝導度を有すると予想されている。また1次元伝導体として既にいくつかの興味ある量子伝導が観測されている。同時に強固なSP2結合で炭素原子同士が結ばれているため、軽量でありながら極めて強固な機械的特性を持つ。これらのユニークな性質のため、超小型の電子回路、高効率な電子線放出素子、燃料電池の触媒担持電極、選択的なガス吸蔵体、強固な複合材料など多くの可能性が広がり始めており、まさに次世代産業基盤として期待されるナノテクノロジーのキー材料として多いに注目を集めている。以上、飯島氏の研究によって、材料科学の基礎から応用におよぶ新分野が開かれ、科学界、産業界に与えたインパクトは計り知れない。

 本研究の成果に対して、応用物理学会は、2002年、飯島 澄男(科学技術振興事業団)に応用物理学会業績賞(研究業績)を贈った。

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キーワード

カーボンナノチューブ、グラファイト円筒構造、電子線回折、炭素ナノ構造体、カーボンナノホーン、電気伝導度、ナノテクノロジー
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