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超高層建物の閉鎖型解体工法の開発

超高層建物の閉鎖型解体

写真1 超高層建物の閉鎖型解体

市原 英樹
篠崎 洋三
萱嶋 誠
古賀 威信

 近年、我が国では都市部を中心に数多くの超高層建物が建てられてきた。これらの建物にも当然ながら解体すべき時期がくるが、超高層であるがゆえに、工事の危険性、周辺環境への影響等、解体工事にはこれまでの建物とは違って乗り越えるべき問題は多い。しかし超高層建物の解体工事の実績はまだ少なく、未経験の分野ということができる。
 受賞対象工法の最大の特徴は、仮囲いで解体工事の現場を覆ってしまう閉鎖型解体工法という点である。これによって、解体材の飛散・落下、騒音・粉塵などのリスクをなくし、全天候での施工を可能とするだけでなく、解体工事中に荒々しい外観をさらすという景観上の問題も解決している。外観上もさほどの変化がないまま、いつの間にか高さが低くなっていく印象である。
 類似の試みとして、建物全体を下部で仮受けして下方から順次解体する工法があり、2009年日本建築学会賞(技術)を受賞している。それに対して本技術は、最上階から順に解体していくという、言わばオーソドックスな工法であり、既存構造体をうまく利用した無理のない工法と言えよう。個々の要素技術に特段目新しいものがない点については、審査に当たっても指摘があったが、堅実な要素技術を巧みに組み合わせ、超高層建物向きのシステムを組み上げたことは、現実的で実用性の高い工法として高く評価できる。
 仮囲いには既存の最上階スラブを利用しており、伸縮式の仮設支柱で1フロアごとに順次ジャッキダウンされる。適当なサイズに切断された解体廃材は、水平・垂直搬送システムで地上に降ろしてから処理される。従来は野天の現場で行われていた解体作業は、閉鎖された工場スペースでの作業に置き換えられ、作業環境、周辺への影響ともに大幅に改善されている。また建設時に資材を高い位置まで持ち上げることで蓄えた位置エネルギーを、部材を吊り降ろす際の回生電力として利用しており、10階程度以上であれば余剰電力が得られるという効果も実証されている。
 本技術は、今後多くの需要が予想される超高層建物の解体に対して、これまでに蓄積された要素技術を巧みに組み合わせて実現した現実的な解体技術であり、まだ適用件数は多くはないものの、実用レベルの技術まで高めたことは評価に値する。今後この技術は、都心部に多く建設されてきた超高層建物の解体において、安全・効率・経済・環境までを含めた高い実用性を発揮することが期待される。

 本研究の成果に対して、日本建築学会は、2013年、市原 英樹(大成建設(株)技術センター次長)、篠崎 洋三(大成建設(株)設計本部プリンシパル)、萱嶋 誠(大成建設(株)技術センター課長)、古賀 威信(大成建設(株)設計本部シニアエンジニア)に日本建築学会賞(技術)を贈った。

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都市環境対策、超高層建物、閉鎖型解体工法、仮囲いで解体工事
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