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押込み・引抜きに高耐力を有する多段拡径杭工法の開発と適用展開

3-01

図1 

青木 雅路
平井 芳雄
若井 修一
田村 彰男

 建物の基礎杭に加わる常時荷重は増加傾向にあるが、一方で、塔状比の高い建物における地震時の転倒モーメントや、地下部分が深い建物に作用する浮力等に起因する引抜き力も増大しており、従来の設計法で考えられてきた杭軸部と周辺地盤との間の摩擦力だけでは抵抗できない例が現れている。開発者らは、この課題を解決する手段として、以前より着目されていた拡底杭の引抜き抵抗に関する遠心模型実験やFEM解析、実大試験を重ね、引抜き抵抗機構や周辺地盤への影響を明らかにした。さらに、押込み・引抜き耐力を高くするために中間部分にも拡径した節部を設ける工法を考案し、節部のない拡底型を含めた設計法、施工法、施工管理法を確立して、「多段拡径杭工法」を完成させた。
 杭先端は、軸部よりも大きな径を持つ立上り部と角度12°の傾斜部で構成される拡底部となっている。また、杭中間の節部は、杭先端と同一寸法の拡径部を角度45°の下部傾斜部で軸部に連結している。実験や解析から、引抜き力を受けると、杭先端や中間節部の上部傾斜部が直上の地盤を上方に押し広げることにより、引抜き抵抗に寄与する地盤の範囲が直杭よりも大きくなること、これに伴い、拡底部の外縁から斜め上方に向かう地盤内せん断面に作用する垂直応力が増大して、せん断抵抗力が向上することを解明した。原位置載荷試験では、多段拡底杭の引抜き抵抗力は同一の軸径を持つ直杭を上回る値を示した。また、繰返し載荷や一定載荷に対しても安定した挙動を示すことを原位置試験で確認している。これらの実験、解析結果に基づいて作成された引抜きに対する設計法は、第三者性能評価機関から一般評定を取得している。
 施工にあたっては、油圧ジャッキを組み込んだ専用のコンパクトなバケットを用い、拡翼・閉翼を繰り返して多段式に中間拡径部と拡底部を掘削する工法を開発し、重機の大型化を抑制している。材料には最大設計基準強度100N/mm2の高強度コンクリートを適用することで杭径の縮小を図っている。これらは、CO2発生量や掘削土量の削減にも寄与すると評価できる。実大施工試験と掘出し調査によれば、掘削完了時の杭壁形状および打設された杭径はほぼ設計どおりであり、コンクリート強度も深さにかかわらず設計基準強度を若干上回る安定した結果となっている。
 本工法は、押込みに対する一般評価も取得し、すでに32件の案件に適用されている。以上、本技術は基礎研究から実大試験まで丁寧に開発された、信頼性、効果の高い工法として評価される。また、基礎の合理化や環境配慮に貢献するとともに、多数の論文や工事記録を発表することにより、他者による同種技術の開発にも寄与している。


 本研究の成果に対して、日本建築学会は、2015年、青木 雅路((株)竹中工務店技術研究所地盤・基礎部専門役)、平井 芳雄((株)竹中工務店技術研究所地盤・基礎部長)、若井 修一((株)竹中工務店技術研究所地盤・基礎部主任研究員)、田村 彰男((株)竹中工務店設計本部プリンシパルエンジニア(構造))に日本建築学会賞(技術)を贈った。

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地震防災対策、高耐力、多段拡径杭工法の開発、押込み・引抜き、引抜き抵抗力
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