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鉄筋コンクリート部材の微小発破解体工法の開発

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図1 

柳田 克巳
中村 隆寛
緒方 雄二
中村 聡磯

 これまでの解体工事は、構造物をいかに早く安く壊すかに主眼が置かれ、近隣や地域への騒音、粉塵などの環境的配慮が十分になされていたとは言い難い。昨今の都市部の建築工事では、ほとんどの場合、既存建築物の解体工事を伴うが、解体に伴う騒音・振動の発生が近隣からのクレームとなるケースが増えており、工事現場周辺への環境負荷の小さい解体工法が求められている。開発者らは、騒音・振動の発生を軽減する解体工法として、微小発破解体工法を考案した。本技術は、爆薬を用いた発破解体技術の一種であるが、各種の課題に対してこれまで有効な解決策に乏しかった都心の建築物解体工事に適用する目的で独自に考案した技術であり、解体に伴う騒音・振動の発生を低減し環境的配慮がなされた技術と位置付けられる。
 発破工法は、日本では主に土木・鉱山分野で用いられてきたが、都市部の建築工事で用いられた実績は近年ほとんどない。しかし、発破技術は大型の鉄筋コンクリート部材を瞬時に破砕できる特徴をもつことから、重機による解体工法に比べて、騒音・振動・粉塵等を伴う解体作業期間を大幅に短縮できるという利点がある。本技術は、発破技術を都市部の建築物解体工事に適用するために、導爆線と呼ばれる線状爆薬を対象部材の形状に合わせて分散装薬する独自の工夫を行うことによって、使用する爆薬量を最小限に抑えた局所的な発破手法を考案・開発したものである。従来の発破技術は、トンネル掘削や岩盤破砕において対象物を粉々に破砕する目的で用いられてきたが、開発者らの考案した微小発破工法は鉄筋コンクリート躯体のコンクリート部分を破断する目的で使用している。その結果、本技術では従来発破工法と比較して装薬量が1/10以下と非常に少量で済むことから、今までは困難と考えられていた市街地での発破技術の利用が実現した。
 本技術については、各種パラメーターを設定した試験体実験および現場実験の結果に基づき、コンクリートの材料条件、部材条件などに応じ、適切な破砕効果を得るための装薬設計法を確立しており、その成果の一部はすでに6編の論文等で公に発表されている。実工事での適用についても、建築物の基礎梁や既存杭の解体を主体に適用され、累計適用件数は20件を超えて十分な実績を残している。
 以上のように、本技術により、解体作業に伴う騒音・振動負荷の軽減、解体作業のCO2発生量の低減、大型鉄筋コンクリート地下躯体や基礎などの解体作業の効率化、破片の飛散の恐れがない安全性の確保などの効果が実現でき、解体工事に有効な技術となるとともに、今後の建築施工技術の発展にも大きく貢献するものと期待できる。


 本研究の成果に対して、日本建築学会は、2016年、柳田 克巳(鹿島建設(株)建築管理本部建築技術部グループ長)、中村 隆寛(鹿島建設(株)技術研究所研究員)、緒方 雄二((国研)産業技術総合研究所安全科学研究部門副研究部門長)、中村 聡磯(カヤク・ジャパン(株)研究本部技術部長)に日本建築学会賞(技術)を贈った。

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キーワード

都市環境対策、鉄筋コンクリート部材、微小発破解体工法、発破工法、装薬設計法、建築施工技術
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