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完全両立性を有するEDTV信号方式の動特性

  • 写真なし平野 裕弘
  • 写真なし吹抜 敬彦
  • 写真なし吉木 宏
 NTSC方式(日米などで用いられているカラーTV方式)と完全両立性を保ちつつ高精細化するTV方式が、1983年、本研究の共同研究者の一人によって提案された。本研究はこの方式の特性解析である。

 高精細化するには、①現行NTSC方式と全く両立性にない新方式(ハイビジョン等)、②高精細化情報を別チャネルで追加的に送る方法、③現行のNTSC方式の1チャネルをそのまま用い(伝送路両立性)、現行受像機とも両立性のある(受像機両立性)方式、の3つが考えられる。本論文が解析の対象とするのは、この③である。

 上記提案は、NTSC信号を新たに3次元周波数領域で見ると、大きな孔が空いていることの発見に始る。即ち、信号を[時間-垂直]周波数領域で見ると、色信号は第2象限と第4象限を占めているが、第1,第3象限は空いている。ここに高精細化情報を挿入(多重化)することができる。新しいEDTV受像機では、これを引出して画像を高精細化する。従来機はそれを無視して受像できる。「完全両立性」の由縁である。

 なお、この孔は、その後米国において、発見者の名に因んで "Fukinuki Hole" と命名された。

 本研究では、この提案を受けて、これを3次元周波数領域で理論的に解析した。即ち、多重化に伴って、[時間-垂直]周波数領域で信号を帯域制限するときの動解像度特性、輝度信号、色信号、高精細情報の間の漏話特性、撮像対象の移動速度の限界、等を明らかにした。

 本研究が対象とする提案は、1985年、当時の郵政省によって国家的プロジェクトとして取上げられ、1995年、正式に日本の放送方式として確立された。

 さらに、米国で真剣に検討され、RCAからACTV(Advanced Compatible TV)として米国の次世代TVとして提案された。さらに、1990年2月、RCAのほか、NBC(3大ネットワークの一つ)、NAP(北米フィリップス)と合同合意され、ほぼ本決りとなった。日本の提案が、TV放送発祥の米国の基本方針を決めそうになるという快挙を呼んだ。

 ただ、その後、ディジタルTV放送が勃興したため、日米ともに広い普及を見るには至らなかった。

 本研究の成果に対して、映像情報メディア学会は、1986年、平野 裕弘(日立) 、吹抜 敬彦(日立) 、吉木 宏(日立)に丹羽高柳賞論文賞を贈った。

文献

[1] Takahiko Fukinuki, Yasuhiro Hirano、Extended Definition TV Fully Compatible with Existing Standards、1984年、IEEE Trans.COM-32 No.8
[2] 吹抜敬彦,平野裕弘、完全両立性を有する高精細TV方式の提案、1983年、信学技報CS83-61
[3] 平野裕弘,吹抜敬彦,吉木宏、完全両立性を有するEDTV方式--その1動特性の理論検討--、1985年、テレビジョン学会誌vol.39, No.10

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分野のカテゴリ

放送
(放送の方式と処理技術)

関連する出来事

1985年
郵政省の高精細TV(EDTV)に関する国家的なプロジェクト
1986年
米国ATV(次世代TV)

世の中の出来事

1985
つくば市で科学万博が開幕する。
1985
電電公社が民営化され、NTTが発足する。

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博物館等収蔵品

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キーワード

EDTV、NTSC、高精細化、両立性、Fukinuki Hole、放送方式、映像符号化、画質・音質
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