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光ファイバケーブル設計理論と評価方法の研究

  • 写真なし内田 直也
  • 写真なし徳田 正満
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グレーデッド型光ファイバの光損失とパラメータA(=外径/コア径)の関係

図1 グレーデッド型光ファイバの光損失とパラメータA(=外径/コア径)の関係

光ファイバケーブル基本構造例と光ファイバ心線の設計例

図2 光ファイバケーブル基本構造例と光ファイバ心線の設計例

各種屈折率分布をもつシングルモード光ファイバに対する一中継区間損失の等損失曲線

図3 各種屈折率分布をもつシングルモード光ファイバに対する一中継区間損失の等損失曲線

 光伝送システムが実用化され公衆通信網に導入されて以来、その普及は目覚ましい。1985年2月に完成した旭川—鹿児島間の日本縦貫光伝送路をはじめ我が国の主要な基幹伝送路に次々と導入され、高度情報社会を支えるインフラとしての役割を十二分に果たしてきた。

 光伝送システムの実用化には、光ファイバケーブル、光源、受光器、中継器など各種の機器や部品の開発が必要であった。光ファイバケーブルに関しては、低損失化技術を中心とする光ファイバ製造技術および光ファイバ自身の特性を保持しながらの高信頼性、高品質性をめざすケーブル化技術の確立が欠かせなかった。

 光伝送の早期実用化をめざした研究開発は1975年ごろ組織的にスタートし、要素技術が著しく進展した。それらを総合化したシステムの実用性も確認され、1981年から公衆網への導入が始まった。

 光ファイバケーブル化技術については、1975年から1976年初めにかけて、まず多モード光ファイバの伝送特性とその評価法およびケーブル化の研究が開始された。当時、光ファイバは低OH化技術を中心とする製造技術の進展により、かなりの低損失化が達成されつつあったが、それを実用に供するにはケーブル製造時、敷設時さらに長期使用時に光ファイバに加わる曲げや側圧に対して、特性を損なわずにケーブル化する技術が不可欠であった。つまり、光ファイバに関しては曲げや側圧に強いパラメータの選定、さらに可能な限り曲げ・側圧・張力がかからないケーブル構造の選定が重要課題であった。

 前者については、伝送特性および接続特性に関する解析をもとに、機械特性や経済性も考慮したパラメータ設計法が確立された。こうして決定されたグレーデッド型ファイバパラメータは、我が国の標準的な規格値となっており、さらにCCITT(現ITU-T)で国際標準値として認められた。一方、ケーブル構造に関しては力学的構造設計理論と信頼度設計理論に基づき標準構造が決定され、初期段階における公衆通信用光ファイバケーブルとして使用された。

 光ファイバケーブルの実用化に際してもう一つの重要な課題は、光ファイバ伝送特性の評価技術とそれを現場に適用した場合の試験法の確立であった。光ファイバの基本伝送特性である光損失と帯域特性は、多モードファイバの場合モード分布に大きく依存することから、入射モード条件の規定が重要であった。種々の入射条件を理論と実験で検討した結果、光損失に対してはG-S-G励振器による定常モード励振法、伝送帯域に対してはS-G-S励振器による全モード励振法が確立された。さらに、光損失の標準測定としてのカットバック法の確立とファイバの障害点探索に不可欠な光パルス試験器の実用化が達成された。

 グレーデッド型光ファイバケーブルの実用化に引き続き、 1979年ごろから単一モード光ファイバケーブルの実用化に向けた本格的な研究開発が始まった。このタイプでは、コアの屈折率分布にかかわらず基底モードのみが伝搬することが基本となるので、従来のコア径と比屈折率差の代わりにモードフィールド径と実効カットオフ波長で規定する方法を提案し、具体的なパラメータを決定し、国際標準としても認められた。さらに、モードフィールド径と実効カットオフ波長の測定法の標準化、単一モード光ファイバ用パルス試験器の開発を行い、1982年に実用化技術として完成した。これらの技術は、直ちにNTTの400Mbit/s大容量中継伝送システムに導入され、日本縦貫光線路など基幹回線網に使用され、現在に至っている。

 本研究の成果に対して、電子情報通信学会は、1985年、内田 直也、徳田 正満、青海 恵之に業績賞を贈った。

文献

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キーワード

光ファイバケーブル、グレーデッド型多モード光ファイバ、単一モード光ファイバ、光ファイバパラメータ設計法、光ケーブル構造設計、国際標準化、光ファイバ伝送特性評価技術、光パルス試験器、日本縦貫光伝送路、光伝送システム
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