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ミューニュートリノビームからの電子ニュートリノ出現事象の発見

  • 写真なし小林 隆
  • 写真なし中家 剛
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図1 

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図2 

 茨城県東海村のJ-PARC大強度陽子加速器施設で生成されたニュートリノを295km離れた神岡のスーパーカミオカンデで測定する総勢500名からなる国際実験グループ(T2K実験)は、2011年にミューニュートリノから電子ニュートリノへの変化(電子ニュートリノの出現)を示唆する観測結果を世界に先駆けて捉え、さらに2013年にはその存在の決定的な証拠を得た。小林隆・中家剛両氏は、T2K実験の立案、主要測定装置の設計と建設に加えて、それぞれT2K実験グループの代表者および物理解析総責任者としてこの発見に大きな貢献をした。ニュートリノには3つの種類があるため、3つの変化のパターンがニュートリノの間の混合をあらわすポンテコルボ—牧—中川—坂田行列では予想される。スーパーカミオカンデによる大気ニュートリノの観測および太陽ニュートリノの観測によって混合角θ23(2番目のニュートリノと3番目のニュートリノ間の混合、以下同様に表記)およびθ12による振動が発見されていたが、混合角θ13による振動はその角度が小さいため見つかっていなかった。小林・中家両氏を中心とするT2K実験は、混合角θ13が予想されていた値よりは大きい可能性を2011年に初めて指摘し、2013年には実際にミューニュートリノから電子ニュートリノへの変化を世界で初めて観測し(すなわち電子数という概念は絶対的なものでは無いことを示し)、ポンテコルボ—牧—中川—坂田行列が示唆するようにニュートリノが3世代間で混合していることを明らかにした。同時に混合角θ13が2012年の原子炉ニュートリノを用いた実験の結果と矛盾しない値であることも確かめた。この発見は、宇宙の物質起源の謎を解明する鍵を握ると考えられているニュートリノにおける粒子と反粒子の性質の違い(CP対称性の破れ)を実験的に明らかにできる可能性も示しており、今後の素粒子物理および宇宙物理の研究に多大な影響を与えるものである。




 本研究の成果に対して、仁科記念財団は、2014年、小林 隆(高エネルギー加速器研究機構)、中家 剛(京都大学)に仁科記念賞を贈った。

文献

1) “Indication of electron neutrino appearance from an accelerator-produced off-axis muon neutrino beam”, T2K Collaboration, Phys. Rev. Lett. 107 (2011) 041801.
2) “Evidence of electron neutrino appearance in a muon neutrino beam”, T2K Collaboration, Phys. Rev. D88 (2013) 3, 03200.
3) “Observation of electron neutrino appearance in a muon neutrino beam”, T2K Collaboration, Phys. Rev. Lett. 112 (2014) 061802.

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キーワード

スーパーカミオカンデ、T2K実験、ミューニュートリノ、電子ニュートリノの出現、ポンテコルボ―牧―中川―坂田行列、CP対称性の破れ、素粒子物理、宇宙物理
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