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中性子過剰核における魔法数の異常性の発見

  • 写真なし本林 透
  • 写真なし櫻井 博儀
核図表

図1 核図表

中性子過剰な原子核の魔法数の異常を研究する方法の概念図

図2 中性子過剰な原子核の魔法数の異常を研究する方法の概念図

 原子核物理学の歴史は古いが、原子核の構造という観点からはMayerとJenseに始まる原子核の殻模型が基本的である。この模型では、陽子数と中性子数が各々2、8、20、28、50、82、126の「魔法数」と呼ばれる数の場合には原子核は閉殻となり安定性が高いとされてきた。 本林氏と櫻井氏の率いる研究グループは、理化学研究所の加速器施設にて一連の実験を行い、 陽子数にくらべて中性子数が極めて多い中性子過剰核においては、上記の常識に反して魔法数が消滅したり、新たな魔法数が発現したりする異常性があることを、世界に先駆けて発見した。これらは、本林氏が考案した中性子過剰核のガンマ線分光の手法、および、櫻井氏が提唱したウラン核分裂による中性子過剰核ビーム発生方式と高い粒子識別能力をもつ分析器の建設によって可能になったものである。
 これまでに両氏等によって明らかにされた中性子過剰核における魔法数の異常性は次の通りである:
1)安定核領域で確立している中性子の魔法数 8、20、28は、中性子ドリップライン(それ以上中性子数を増やすと、中性子が原子核に束縛しなくなる限界線)近傍で減衰・消滅する。
2)中性子ドリップライン近傍の特定な領域では、新しい魔法数16、32、34が出現する。
3)他方、魔法数50、82に関しては、中性子超過剰な領域においても魔法性が維持される。
 これらの研究は、核図表の全域における魔法数の説明に繋がる包括的な原子核構造理論の構築を促すものである。またこれらの魔法数の実験的理論的な解明は、例えば宇宙物理学における元素合成の理論等にも影響を与え得るものであり、より広い物理学の観点からも非常に重要である。


 本研究の成果に対して、仁科記念財団は、2015年、本林 透(理化学研究所)、櫻井 博儀(東京大学・理化学研究所)に仁科記念賞を贈った。

文献

[1] “Large deformation of the very neutron-rich nucleus 32Mg from intermediate- energy Coulomb excitation”, T. Motobayashi, Y. Ikeda, Y. Ando, K. Ieki, M. Inoue, N. Iwasa, T. Kikuchi, M. Kurokawa, S. Moriya, S. Ogawa, H. Murakami, S. Shimoura, Y. Yanagisawa, T. Nakamura, Y. Watanabe, M. Ishihara, T. Teranishi, H. Okuno, R.F. Casten, Physics Letters B 346 (1995) 9-14.
[2] "Evidence for a new nuclear 'magic number' from the level structure of 54Ca", D. Steppenbeck, S. Takeuchi, N. Aoi, P. Doornenbal, M. Matsushita, H. Wang, H. Baba, N. Fukuda, S. Go, M. Honma, J. Lee, K. Matsui, S. Michimasa, T. Motobayashi, D. Nishimura, T. Otsuka, H. Sakurai, Y. Shiga, P.-A. Söderström, T. Sumikama, H. Suzuki,R. Taniuchi, Y. Utsuno, J. J. Valiente-Dobón, K. Yoneda, Nature 502 (2013) 207-210.
[3] "Isomers in 128Pd and 126Pd: Evidence for a Robust Shell Closure at the Neutron Magic Number 82 in Exotic Palladium Isotopes", H. Watanabe, G. Lorusso, S. Nishimura, Z. Y. Xu, T. Sumikama, P.-A. Söderström, P. Doornenbal, F. Browne, G. Gey, H. S. Jung, J. Taprogge, Zs. Vajta, J. Wu, A. Yagi, H. Baba, G. Benzoni, K. Y. Chae, F. C. L. Crespi, N. Fukuda, R. Gernhäuser, N. Inabe, T. Isobe, A. Jungclaus, D. Kameda, G. D. Kim, Y. K. Kim, I. Kojouharov, F. G. Kondev, T. Kubo, N. Kurz, Y. K. Kwon, G. J. Lane, Z. Li, C.-B. Moon, A. Montaner-Pizá, K. Moschner, F. Naqvi, M. Niikura, H. Nishibata, D. Nishimura, A. Odahara, R. Orlandi, Z. Patel, Zs. Podolyák, H. Sakurai, H. Schaffner, G. S. Simpson, K. Steiger, H. Suz

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キーワード

原子核、魔法数、ガンマ線分光、中性子過剰核ビーム発生方式、中性子ドリップライン近傍、原子核構造理論、物理学
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