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高光束発散度LEDモジュールおよび高出力狭角配光照明

従来の高出力照明器具およびそれらと置換えが可能なLED照明器具の配光ラインアップ

表1 従来の高出力照明器具およびそれらと置換えが可能なLED照明器具の配光ラインアップ

従来および新開発のLEDモジュール

図1 従来および新開発のLEDモジュール

メタルハライドランプ1.5kWクラスのLED投光器の外観と構成図

図2 メタルハライドランプ1.5kWクラスのLED投光器の外観と構成図

ハロゲン500WクラスのLED小形投光器の外観と構成図

図3 ハロゲン500WクラスのLED小形投光器の外観と構成図

ハロゲン1000WクラスのLEDスポットライトの外観と放熱部

図4 ハロゲン1000WクラスのLEDスポットライトの外観と放熱部

[従来技術]
 従来、LEDを光源とする高出力照明は、大きな器具光束を得るために多数のLEDパッケージを配列させた構造の照明器具や、多量のLEDチップを実装したLEDモジュールを搭載した照明器具によって行われていた。

[解決すべき課題]
 しかしながら、上記の照明器具では狭角配光を得ることが難しかった。これは、従来光源のHIDランプやハロゲンランプと違い、LED照明では、いわゆる"点光源"となって器具の配光を作り出すことができず、求められる光量に応じて通常は光源部分の発光面積も大きくなってしまうことが理由である。表1に従来の主な高出力照明器具とこれらと置換えが可能な(寸法と光出力が略同等な)LED照明器具の配光ラインアップを示す。同表で「×」で示したとおり、高出力のLED照明器具では、これまでは狭角配光が得られなかった。この配光領域をカバーすることが本研究の課題である。

[課題を解決するための手段と結果]
 ①高光束発散度LEDモジュールの開発
 下記(1)~(3)に列挙した独自技術により業界で初めて(*1)高出力フリップチップを高密度実装したLEDモジュールを開発した(以下「本高出力LEDモジュール」という)。
(1)チップ配列とプロセスの最適化によるフリップチップ高密度実装技術の開発
(2)最適化した基板と放熱銅板の貼り合わせ構造(ヒートスプレッダ構造)の開発
(3)薄膜蛍光体層形成技術
 このモジュールの発光部の直径は17mmで従来のモジュールよりも大幅に小さくできた。(図1)
 
②狭角配光高出力LED投光器および狭角配光LEDスポットライトの開発
本高出力LEDモジュールを用いて次の各種狭角配光高出力照明器具を開発した。
②-1 メタルハライドランプ1.5kWクラスの狭角配光高出力LED投光器
 光学ユニット部、ヒートシンクおよび電源ユニット部から構成され、本高出力LEDモジュールがヒートシンクの所定箇所に装着される。光学ユニット部は反射鏡を備えた7つの投光部を持ち、ヒートシンクと勘合させることによって、本高出力LEDモジュールは各投光部の反射鏡と所定の最適位置関係で組み付けられそれぞれで狭角配光を得る。器具全体として1/10ビーム角で22°の狭角配光を実現した。本投光器の総合効率は81 lm/wで従来光源の器具と大きく変わるものではないが、照明設計において有効に使われる配光角の例えば30°ビーム効率においては86.4%と従来光源器具(メタルハライドランプ投光器)の38.6%からは倍以上増加しており、実質的な器具効率の向上を図った。(図2)
②-2 ハロゲンランプ500Wクラスの狭角配光LED小形投光器
 ヒートシンクに取り付けた本高出力LEDモジュール、狭角配光反射鏡および漏れ光をカットする狭角ルーバーを本体内に収納した構造である。本小形投光器は、ハロゲンランプ500Wクラスの狭角配光小形投光器の置き換えを狙ったもので、ハロゲンランプ500Wクラスの器具と同等の明るさを確保しながら、LED光源で1/10ビーム角で15°という極めて角度の小さい狭角配光を実現している。(図3)
②-3 狭角配光LEDスポットライト
 本スポットライトは、舞台・スタジオ用スポットライトとして求められる光出力と演色性を得るため、効率も含めたバランス調整を行って、上記②-1と②-2で紹介した器具で使用するモジュールよりも発光部直径が31mmと若干大きいモジュールを使用するが、従来の同等性能のモジュールより小さい寸法に収まっている。このように発光部を小さくすることによって、従来、舞台・スタジオ用LEDスポットライトではなかった狭角配光が実現できるようになった。
また、本高出力LEDモジュールは点灯時に非常に高温となるため、その性能を維持するために、ヒートパイプを備えて放熱性能を高めたヒートシンクに取り付けて放熱を行う。ヒートパイプをヒートシンクの各所に熱結合させて接続することによって、ヒートシンクのほぼ全体に熱を行きわたらせ、効率の良い放熱を行う。(図4)
本スポットライトは、1/10ビーム角で7.6°という極めて角度の小さい狭角配光を実現した。

[効果]
 上記①の本高出力LEDモジュールは、従来のLEDモジュールに比べ約10倍となる業界最高(*2)の光束発散度が得られ、これにより、直径17mmの発光部から15,000lmもの大光束を得ることができる。
上記②-1の狭角配光高出力LED投光器は、照射効率の良い狭角配光が得られるので、全光束が少なくても必要な照射面を十分な照度で照明することができ、その結果として消費電力を抑え、照明施設全体において大きな省エネが図れる。また、施設外への漏れ光も抑えることができる。
上記②-2の狭角配光LED小形投光器は、従来のハロゲンランプを使用した器具と比較して60%以上の省エネが図れる。また、狭角配光を得るにあたってレンズを使用しないため、照射面の明るさのむらや色むらを少なくすることができる。
上記②-3の狭角配光LEDスポットライトは、従来のハロゲンランプを使用したスポットライトと比較して76%の省エネが図れる。


(*1,*2 :2015年1月現在 東芝ライテック㈱調べ)








 本研究の成果に対して、照明学会は、2015年、斉藤美保(東芝ライテック株式会社)、近藤和也(同左)、岡 義郎(同左)、鈴木勝也(同左)、松田良太郎(同左)、羽生田有美(同左)、大野貴之(同左)、中島啓道(同左)、横山 浩(同左)に照明技術開発賞を贈った。

文献

[1]大野貴之、徳原直人、羽生田有美、「大光量と低消費電力を実現する舞台・スタジオ用LED照明器具」、東芝レビュー、Vol.70, No.6, 2015.

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