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重い電子の2次元閉じこめによる新しい電子状態の創出

  • 写真なし松田 祐司
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図1 

2次元人工超格子超伝導単結晶薄膜の電気抵抗の温度依存性

図2 2次元人工超格子超伝導単結晶薄膜の電気抵抗の温度依存性

 松田氏は、重い電子系化合物のエピタキシャル成長に世界で初めて成功し、人工超格子の作製を通して系の空間次元性を制御することにより、重い電子系の研究に新たな局面を開拓した。膨大な数の電子が強いクーロン斥力により相互作用している強相関物質は、銅酸化物における高温超伝導現象などを含む驚くべき物理現象を生み出す現代物性物理学の宝庫である。そのなかで、重い電子系強相関物質の研究は多彩な磁気現象と特異な超伝導現象の発見を通して、物性物理学の研究を大きく深化させている。重い電子系物質の研究において、相互作用を制御して現象を解明する研究手法は、これまで物質の元素組成比の変化、あるいは温度、圧力、磁場などの物理的パラメータを変化させることで行われてきた。一方、系の次元性をエピタキシャル成長によって制御する試みは、過去20年間欧米の多数の研究グループによってなされたが成功しなかった。松田氏は、重い電子系物質の電子状態の次元性制御を世界で初めて実現する画期的な成果を挙げ、その結果、①単結晶積層(エピタキシャル)技術によって作成した人工超格子を用いて電子間の相互作用の強さを制御して、2次元超伝導状態の特異性を解明し、また②磁気秩序の抑制による特異な電子状態を実現した。かつて、半導体への超格子構造の導入によって半導体物理学が飛躍的に進んだのと同様に、松田氏が成功した重い電子の空間次元制御を通して、今後、特異な超伝導物理現象の理解の深化のみならず、重い電子の界面を舞台にした予期せぬ創発的な物理現象が発見される可能性が大いに期待できる。


 本研究の成果に対して、仁科記念財団は、2014年、松田 祐司(京都大学)に仁科記念賞を贈った。

文献

1) "Tuning the dimensionality of the heavy fermion compound CeIn3" H. Shishido, T. Shibauchi, K. Yasu, T. Kato, H. Kontani, T. Terashima and Y. Matsuda, Science 327, 980-983(2010).
2) "Extremely strong-coupling superconductivity in artificial two-dimensional Kondo lattices" Y. Mizukami, H. Shishido, T. Shibauchi, M. Shimozawa, S. Yasumoto, D. Watanabe, M. Yamashita, H. Ikeda, T. Terashima, H. Kontani and Y. Matsuda, Nature Physics 7,849-853(2011).
3) "Controllable Rashba spin-orbit interaction in artificially engineered superlattices involving heavy fermion superconductor CeCoIn5" M. Shimozawa, S. K. Goh, R. Endo, R. Kobayashi, T. Watashige, Y. Mizukami, H. Ikeda, H. Shishido, Y. Yanase, T. Terashima, T. Shibauchi and Y. Matsuda, Phys. Rev. Lett. 112, 156404(2014).

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キーワード

重い電子系化合物、エピタキシャル成長、人工超格子、強相関物質の研究、超伝導現象の発見、次元性制御、単結晶積層、2次元超伝導状態、磁気秩序抑制、超伝導物理現象の理解
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