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平等院鳳凰堂LED照明ライトアッププロジェクト
-時代を超えた威風-

鳳凰堂正面

写真1 鳳凰堂正面

鳳凰堂内部

写真2 鳳凰堂内部

 国宝の平等院鳳凰堂(1994年に世界遺産に登録)は、平成の大改修(2012年~2014年)が行われ屋根の葺き替えや柱の塗り替えが実施された。
修理前の照明には、イベント用に仮設のハロゲンランプの投光器を用いたライトアップが行われていたが、この修理に伴い常設を前提としたLED照明のライトアップを行うことになった。創建当初に近い外観になることで、これまでの知見が全く通用せず、一からの検討が必要となった。

[課題を解決するための手段と結果]
 照明設計を行うに当たり、まず建築形状の分析を行った。その結果、鳳凰堂はProportion(プロポーション)、Silhouette(シルエット)および3 Dimension(三次元)が大きな特徴であり、正面においては、中堂はやや重心を低く、翼廊に楼閣を設けて重心を高くしていることが、浮遊感覚を生じさせる見せ方を導いているとの結論を得た。この分析を踏まえて照明計画を行ったが、CGシミュレーションを活用し、イメージによる相対評価と輝度による絶対評価にて詳細を検討している。
 照明手法としては、特注製作した小型の投光器を用いて70m程度の遠距離から投光照明を行うことにより、夜間の見え方の高品質化と昼間の景観に対する影響の極小化を両立させた最適な光環境を創造した。シンメトリーな鳳凰堂の特徴を活かすため、照明器具も左右対称な配置を基本としている。その際、既存のポールを極力流用し、ポールの新設は最低限としている。照射距離が大きくても、光のメリハリをつけるため、新規に超狭角投光器を開発した。配光制御性能と省エネルギー、長寿命のメリットから、光源にはLEDを採用している。
 今回金箔が貼り替えられた鳳凰像と丹土(につち)色に新しく塗装された柱などの最適な見え方を実現するため、光色は3000Kにて統一し、最高グレードの高演色タイプ(Ra95)を用い、現場実験を重ねて見え方を確認した。
 また、複数の照明シーンを時間経過とともにゆっくりと変化させ、人工的に表情の変化を見せる演出と阿字池の波紋を自然に写す演出の二種類の動的演出を行っている。
 鳳凰堂内部は照明器具の常設が不可であるため、移動できる照明スタンドを製作し、本尊のライトアップを行った。照明スタンドには軽量のLEDスポットライトを縦に3灯配置して重心を低く保ち、転倒リスクの軽減を図っている。

[効果]
 外観は、明るさの分布を左右対称とすることで、建築形状との調和が図れている。また中堂の光の重心を本尊付近とし、翼廊の光の重心をそれより上げることにより、翼廊が垂れ下がる印象になることを防ぐことができた。さらに、阿字池への映り込みを意識した動的演出により、新しい鳳凰堂の見せ方を実現できた。
 修理前の仮設のハロゲン投光器を用いたライトアップと比較して、今回のライトアップは約55%の省エネルギー効果が得られている。


 本研究の成果に対して、照明学会は、2015年、神居 文彰(宗教法人平等院)、梶村 俊哉(東芝ライテック株式会社)、渡辺 元夫(同左)、松下 進(松下進建築・照明設計室)、別田 惣彦(東芝ライテック株式会社)、野口 瑤子(同左)、石橋 正憲(同左)、根岸 康雄(東芝エルティーエンジニアリング株式会社)、水島 昌宏(株式会社内外電業社)に日本照明賞を贈った。

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屋外照明技術、屋内照明技術、世界遺産、国宝、平成の大修理、LED、ライトアップ、輝度設計、高演色性、配光制御、グレアレス、分光測色、省エネルギー、平等院、鳳凰堂
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