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高効率空気吹きIGCC(石炭ガス化複合発電)の開発

火力発電の高効率化

図1 火力発電の高効率化

IGCCのシステム構成

図2 IGCCのシステム構成

250MW勿来IGCC実証機(勿来発電所10号機)全景

図3 250MW勿来IGCC実証機(勿来発電所10号機)全景

1.概要

 アジアをはじめとする発展途上国の経済成長に伴い,今後,世界のエネルギー需要は増加していくことが予想される.こうしたなか,世界中に広く分布し,埋蔵量が豊富な石炭は,長期にわたり安定的な供給が見込め,価格も比較的安いことから,エネルギーセキュリティを確保していくうえで重要なエネルギー資源となっている.

 一方で,石炭火力発電には,最新の天然ガスコンバインド火力発電システムに比べて発電効率が劣ること,他の燃料に比べて燃焼に伴う発電電力量あたりのCO2排出量が多いことの2つの課題がある.そこで,これらの課題を解決すべく開発を進めているのが,IGCC(Integrated coal Gasification Combined Cycle:石炭ガス化複合発電)である.

 我国では,高い技術的難度から海外では開発が断念された“空気吹きガス化”について小規模実験プラントから段階的に開発に取り組み,実用規模の250MW実証機の開発を完了して世界で初めて空気吹き石炭ガス化IGCCの実用化に成功した.

2.技術の内容

 火力発電の高効率化を図1に示す.最新鋭の超々臨界圧石炭火力(USC)の発電効率が42%(送電端,LHVベース)程度なのに対して,商用規模の空気吹きIGCCでは48~50%の発電効率が可能である.また,将来,燃料電池と組み合わせたIGFCでは発電効率55%以上が期待される.

 IGCCのシステム構成を図2に示す.IGCCでは,高温高圧のガス化炉で石炭をガス化し,ガス精製設備にて不純物を取り除いた後,ガスタービンにて発電し,同時にガス化炉とガスタービン排熱から蒸気をつくり,蒸気タービンにて発電する.ガスタービンと蒸気タービンを組み合わせてコンバインドサイクル発電を行うことで,従来型の石炭火力発電より高い発電効率が可能となる.

 空気吹きガス化炉では,酸化剤として酸素ではなく空気を使用することにより,所内動力の削減が図れる.これにより,空気吹きIGCCは高い発電効率を達成し,省資源とCO2削減を実現できる.更に,ガス精製設備で不純物を高レベル除去することで,優れた環境性を有する.

 従来,空気吹きガス化炉は,技術的に困難と言われていた.これは,GT安定燃焼に十分な発熱量を確保しようとするとガス化炉での燃焼温度が上がらずに灰の溶融排出に十分な温度が得られず,ガス化炉で灰の溶融に十分な温度を確保するとGT安定燃焼に十分な発熱量を得られないという背反現象があったためである.これを解決するために,独自の2室2段ガス化方式を開発採用し,灰の溶融排出とGTの安定燃焼に必要なガス発熱量の両立が工業的なスケールでも成立することを実証した.

3.まとめ

 250MW実証機(図3)により技術開発は完成し,我が国独自技術としての空気吹きIGCCを商用レベルで実現可能なことを実証した.250MW実証機は,2013年4月から常磐共同火力(株)勿来発電所10号機として引き続き商用プラントとして運転継続されている.次の500MW級IGCC量産機は,高い発電効率と優れた環境性を併せ持つ石炭発電システムとして,エネルギーセキュリティの確保,省資源,低炭素クリーン社会を実現する基幹技術として貢献していくものと考えている.

 本研究の成果に対して、日本機械学会は、2014年、橋本貴雄(三菱日立パワーシステムズ(株))、品田治(同左)、金子祥三(東京大学)、石橋喜孝(常磐共同火力(株))、浅野哲司(同左)に日本機械学会賞(技術)を贈った。

文献

[1] 今本敏彦、洲崎誠、他、「石炭ガス化複合発電(IGCC)」、三菱重工技報、Vol.39, No.3, pp.124-127, 2002.
[2] 橋本貴雄、太田一広、他、「石炭ガス化複合発電(IGCC)によるCO2排出削減の展望」、三菱重工技報、Vol.45, No.1, pp.15-17, 2008.
[3] 長井輝雄、「石炭ガス化複合発電(IGCC)実証プラントの開発」、日本ガスタービン学会誌、Vol.37, No.2, pp.72-77, 2009.
[4] 長井輝雄、山下洋、「石炭ガス化発電(IGCC/EAGLE)」、火力原子力発電協会誌、Vol.60, No.10, pp.61-66, 2009.
[5] 橋本貴雄、品田治、「世界初の空気吹きIGCC連続運転成功とCO2排出の少ない商用機への取組状況」、エネルギーと動力、Vol.272, 2009.
[6] 橋本貴雄、坂本康一、「石炭ガス化発電(空気吹きガス化)」、火力原子力発電協会誌、Vol.65, No.10, pp.64-68, 2014.

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IGCC、複合発電、石炭ガス化、高効率、CO2、省資源、Efficiency
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