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高効率可変気筒ロータリコンプレッサの開発

可変気筒ロータリの原理

図1 可変気筒ロータリの原理

開発した新機構の切替動作図

図2 開発した新機構の切替動作図

開発モデル

図3 開発モデル

1.概要

 省エネ・節電の重要性が近年ますます高まり,居住空間の高気密・高断熱化が進む中,空調機器に今後求められることは,機器の高効率化はもちろん,設定温度にすばやく到達し,その後断続レスかつ高効率で微小能力運転を行うことであり,実現できれば省エネに加え快適性も向上する.そのためにはコンプレッサの能力可変幅の大幅な拡大が必要であり,当社では独自に,2シリンダから必要に応じて1シリンダに可変気筒を行い微小能力運転を可能にする,ロータリコンプレッサの開発を行ってきた.最大の課題は,可変気筒化することによる2シリンダ運転時の効率低下であったが,今回構造を根本的に見直すことで,全域での高効率運転を可能にし,更に省資源・省スペースにもなる新方式の可変気筒機構を開発し,家庭用エアコン向けに商品化することができた.

2.技術の内容

 2シリンダロータリにおける可変気筒の原理を図1に示す.図1は可変側シリンダ室の断面図で,2シリンダ運転時,ベーンには背面に吐出圧力,先端に吸込圧力が作用し,差圧によりローリングピストンへの押付力Fが発生することで吸込室と圧縮室を形成している.ここでベーンに働く差圧をなくして押付力Fを解除し,ベーンを永久磁石等で保持すれば空転させることができる.

 従来は吸込配管の途中に切替弁を設け,吸込室の圧力を吐出圧力に変更することでベーンに働く差圧をキャンセルし空転させていたが,この方法では,2シリンダ運転時に吸込配管における損失が大きく効率が低下する上,切替弁を含む配管使用量も増大していた.また高効率・低騒音の特徴を持つ吸込管が1本の1サクションツインロータリに適用できず,効率向上に制限があった.

 開発した新機構の切替動作を図2に示す.新機構ではベーン背面にケース内部空間と隔絶されたベーン背室を設け,圧力制御管の途中に設けられた切替弁により,ベーン背室に導く圧力を吐出圧力から吸込圧力に変更し空転させる.この場合,吸込配管の途中に切替弁を設ける必要がなく可変気筒起因の吸込損失がない.また切替弁を通過する流量が極めて小さいため,切替弁を含めた配管系の小型・細径化が可能になり,省資源・省スペースとなる.更には可変側吸込室が常に吸込圧力となるので,1サクションツインロータリにも適用可能になる.

 新開発のコンプレッサ(図3)は,従来モデルに対し定格COPで4~5%,微小能力時(定格の1/4)のCOPで1.5%の向上が得られた.また可変気筒を構成するための配管使用量(重量)はほぼ半減した.開発品搭載のエアコンにおいては,外気30°C/設定25°C(14畳間)の条件で,安定時の消費電力の積算平均値が,可変気筒がない場合に対し43%低減し,室温も安定する効果が得られた.

3.まとめ

 開発モデルは2011年11月より家庭用エアコンの上位機種に搭載され,可変気筒ならではの省エネ性と快適性を提供している.今後この技術の適用範囲を広げ,更なるエネルギの有効利用と居室空間の快適性向上に貢献していきたい.

 本研究の成果に対して、日本機械学会は、2013年、平山卓也(東芝キヤリア(株))、川辺功(同左)、平野浩二(同左)、古根村仁(同左)に日本機械学会賞(技術)を贈った。

文献

[1] 平山卓也、「ロータリ圧縮機における可変気筒技術」、冷凍、Vol.88, No.1027, pp.359-363, 2013.
[2] 平山卓也、平野浩二、志田勝吾、JAFET、「新方式可変気筒ロータリコンプレッサの開発」、日本冷凍空調学会論文集、Vol.30, No.1, pp.67-73, 2013.

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コンプレッサ、空調機器、省エネルギ、省資源、2シリンダロータリ、可変気筒
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