1. HOME
  2. 機械関連(専門)
  3. 研究情報(登録番号2049)

船体曲り外板の全自動曲げ加工システム(IHIMU-α)

従来作業

図1 従来作業

新型機

図2 新型機

加熱方案算出フロー

図3 加熱方案算出フロー

ロボット加熱装置

図4 ロボット加熱装置

鋼板支持定盤

図5 鋼板支持定盤

鋼板反転装置

図6 鋼板反転装置

自動運転フロー

図7 自動運転フロー

1.概要

 船体の外板は航行時の抵抗を軽減するために滑らかな3次元曲面で構成されている.この曲げ加工方法として,局所加熱による塑性変形を組合せて任意の3次元曲面を実現する線状加熱法が用いられてきた(図1).今回,著者らは1997年に開発した自動曲げ加工装置の初号機を大幅に改良し,これまで人手に頼らざるを得なかった仕上げ加熱も含め全ての工程を無人で処理する新型機(図2)を開発した.

2.システムの構成

(1)加熱方案算出プログラム

 目的形状を実現するために「平らな鋼板のどこを,どの方向に,どういう順序で,どれくらいの入熱量を与えるか?」を数値で表したものを加熱方案と称している.著者らは独自の解析手法と最適化によってこの加熱方案を実用的な精度及び計算時間で算出する加熱方案算出プログラム(図3)を開発した.

(2)ハードウェア

 熱源は制御性および再現性の高い高周波加熱を採用し,そのハンドリング装置として2台の多関節ロボット(図4)を導入した.これにより加熱方案を正確に実行する事が可能となった.また,定盤上には加熱によって変化する鋼板形状と連動して逐次高さ調整される電動ジャッキが配置(図5)されており,その頂部には鋼板冷却用の噴水ノズルが取り付けられている.本システムで1枚の板を仕上げるには数時間~十時間程度を要し,その間に最低3回の反転が必要である.新型機では,重さ10トンまでの任意の形状をした鋼板を自動で反転する装置も組み込まれている(図6).

(3)計測・評価・修正加熱システム

 加熱後の形状は,3次元スキャナーで計測して結果を評価し,鋼板物性値等のばらつきによりズレが生じた場合は,計測形状から目的形状までの修正加熱方案を自動算出し,引き続き加熱を実行する.これにより「加熱→計測・評価→修正加熱→計測・評価…」の自動修正が可能となった(図7).

3.まとめ

 本装置では船の曲り外板の7割(板枚数比)を自動で曲げる事が可能である.熟練技能の代名詞である線状加熱曲げの技術化(機械化)により,近代産業から取り残されてきた船体曲り部の擦り合せ建造法を抜本的に技術化する基盤が実現した.

 本研究の成果に対して、日本機械学会は、2013年、丹後義彦((株)JMUアムテック)、石山隆庸((株)アイ・イー・エム)、鈴木博之(ジャパンマリンユナイテッド(株))、森浩一((株)IHIエスキューブ)、高橋賢一(同左)に日本機械学会賞(技術)を贈った。

文献

[1] 上田幸雄、村川英一、Nohamed Rashwan Ahmed、奥本泰久、神近亮一、「計算機支援板曲げ方案自動生成システムの開発(第1報)成形形状と固有ひずみの関係」、日本造船学会論文集、第170号、pp.557-586, 1991.
[2] 上田幸雄、村川英一、Nohamed Rashwan Ahmed、神近亮一、石山隆庸、小川潤一郎、「計算機支援板曲げ方案自動生成システムの開発(第4報)加熱位置,方向,加熱条件の決定法」、日本造船学会論文集、第174号、pp.683-695, 1993.
[3] 石山隆庸、顧斯美、小川潤一郎、高倉大典、「FEMを応用した線状加熱の精度向上の試み」、日本造船学会論文集、第180号、pp.731-738, 1996.
[4] 丹後義彦、石山隆庸、永原章二、長島智樹、小林順、「線状加熱自動鋼板曲げシステムの実船適用,システムの概要と適用実績」、日本造船学会論文集、第193号、pp.85-95, 2003.
[5] 丹後義彦、石山隆庸、鈴木博之、「船殻外板の全自動曲げ加工システム“IHIMU-α”の開発」、IHI技報、Vol.51, No.1, 2011.

関連する研究を検索

分野のカテゴリ

ものをつくる(生産・加工)
(生産システム)
ものをつくる(生産・加工)
(生産加工・工作機械)

関連する出来事

データなし

世の中の出来事

データなし

Webページ

データなし

博物館等収蔵品

データなし

キーワード

鋼板曲げ加工、船舶、撓鉄、線状加熱、固有ひずみ、自動化、多関節ロボット、計測、評価、修正
Page Top