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災害対応ロボットQuince福島第一原子力発電所原子炉建屋内モニタリングロボットとして活動

2013-02-1

図1 

1.概要

 災害対応ロボットには,自然災害,事故,テロなどの現場を想定し,特に2次災害の恐れのある場合,人に代わって情報収集することが求められる.一方で,開発が困難な理由として,被災現場環境の複雑さがある.Quinceは,NEDOの「戦略的先端ロボット要素技術開発PJ」において,実用化を目的に開発された.このPJでは地下街や地下鉄構内でCBRNテロが発生したとき,まずはじめにロボットが初動調査を行い被害の軽減化を果たすことになる.

 東日本大震災で福島第一原子力発電所はこれまで経験したことのない原子力災害を引き起こした.Quinceは平成23年6月に,国産ロボットの1号機として現場に投入された.高濃度の放射能で汚染され,人が立ち入ることのできない過酷な環境下において,500mの通信ケーブルを介し遠隔操作で情報収集を行い,原子炉建屋内のモニタリングロボットとして活動が期待された.

2.技術の内容

 災害対応ロボットの基本性能として,瓦礫/段差/階段/不整地での走行機能,小型で耐久性に富みメンテナンスフリー,防水/防塵/防爆などが求められる.また,原子炉建屋内で活動するロボットには,遠隔操作の無線通信とロボットに搭載している電子部品の耐放射線特性の問題がある.実用化を目的に開発されたロボットの最初の現場がもっと過酷な原発事故.些細なトラブルでもロボットは帰還不能,もちろん回収もできないしその後の作業の障害になる.困難なのはロボットだけではなく,ロボットのオペレータを育成するという課題にも直面した.

 電子部品の耐放射線特性を確認/検証するために,日本原子力研究機構(JAEA)高崎量子応用研究所の指導/助言を受け実施した.この結果,トータルドーズで,200Svを放射しても主要な回路は故障しないことが判明した.

 無線通信の問題では,廃炉準備中の浜岡原子力発電所1号原子炉建屋内で実験を行った.Quinceに搭載されている無線機器全てと,通常では使用を制限されている機材,その他UHF帯を含めた通信機材を用い実験を行った.この結果,アンテナが見通せる範囲は問題ないが,壁を隔てるとロボットの遠隔操作に問題があることが判明した.この知見より,Quinceに搭載する通信方式は有線とし,光ファイバー,同軸ケーブル,LANケーブルなどを通信距離,通信レート,ケーブルの重量/容積,強度などから評価することで,最終的にVDSL方式,ケーブルはツイストペア,500Mでおよそ2.3KG,25MBPSで通信可能なシステムを構築した.Quince1号機は10月に2号建屋3階でケーブルが切断し帰還不能となった.その後,Quince2号,3号では,自動通信ケーブル巻き取り装置を開発するとともに,ケーブル切断は避けられないことから有線/無線ハイブリッドシステムも開発した.

 被災現場をロボットに搭載したカメラ画像だけで操作するには,熟練した操作技術が求められる.有線ロボットは,帰還時にケーブルを巻き取りながらバックで走行する必要があり,そのためのヒューマンインターフェースも開発した.

3.まとめ

 これまでに,冷温停止に向けた情報収集,2号原子炉建屋5階の燃料プール撮影などを行った.国難と言われる福島第一原子力発電所の早期の収拾に向け,遠隔無人操作機械/ロボットの運用は不可欠であり,そこから生まれた新技術が日本国の安全と,さらなる発展に向け寄与できるものと確信している.

 本研究の成果に対して、日本機械学会は、2013年、小柳栄次(千葉工業大学)、吉田智章(同左)、西村健志(同左)に日本機械学会賞(技術)を贈った。

文献

[1] 原子力防災支援システム海外調査報告書、平成12年3月

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