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中尊寺金色堂照明改修プロジェクト-世界遺産 維持・継承の試み-

金色堂正面

写真1 金色堂正面

金色堂側面

写真2 金色堂側面

[従来技術]
 従来、金色堂では蛍光灯器具が用いられ、均質な光環境になっていた。
 内部は、躯体に傷をつけないように、照明器具は長押に引っ掛けているだけであった。

[解決すべき課題]
 明るさの点からは、全体的に暗い印象になっており、明暗のバランスが悪い。
 また照明器具からの直接グレアが多く、不快さの原因となっているとともに、廊下のダウンライトもガラス面に映り込んでおり、間接グレアとなっている。
 照明器具は存在感が大きく、設置方法において、安全性および耐震性が低い。
 ルーバやカバーなどの対策は取られているが、発光面積が大きく、光の広がりも大きいため、漏れ光を制御しきれておらず、そのことが無駄な電力消費にもつながっている。
 調光によりかなり明るさを絞っているが、そのためちらつきが発生している。

[課題を解決するための手段と結果]
 照明設計を行うに当たり、輝度分布解析を活用し、適切な輝度対比とした。
 明暗やモデリングの検討により、求心性および立体感を創出し、重要視点の抽出および視線方向の検討により、グレアレスな光環境を実現した。
 照明器具は、光源をオールLEDとし、配光の最適化と調光による無駄な光の削除を行ったことにより、明るさのバランスが改善され、同時に約40%の省電力となった。
 さらにLED化は、紫外線・赤外線の軽減につながり、被照物の劣化、退色などの影響を抑えている。
 また、光源の色温度を部位に適した色温度を使い分けるとともに、分光測色による金箔の見え方の検討を行うことにより、被照物の見え方が自然なものとなった。
 施工においては、躯体を傷つけず、地震で落下しない固定方法を開発することで、文化財の保護と安全性の向上を実現した。

[効果]
 全体的に明るい印象になり、明暗のバランスが適正化され、金色堂全体が自然に見えるようになった。
 色温度は基本的に3000K程度で統一しているが、巻柱や高欄の螺鈿は4000Kの光源を用いることにより、螺鈿が浮き上がって見えるようになった。
 さらに、分光分布を考慮したLEDの採用により、金箔の見え方が改善されるとともに紫外線および赤外線が軽減された。
 不快感を伴っていたグレアに関しては、ルーバを用いることで照明器具の直接グレアはほとんど感じなくなり、グレアレスタイプのダウンライトに交換することで、間接グレアとなっていたガラス面への映り込みをかなり軽減することができた。
 照明器具は、同一形状ながら多様な配光および色温度を持つLEDライトエンジンの使用に加え、バンドアによる細かい配光の制御により、器具外観の統一による美観性の向上ときめ細かい光の使い分けが両立できた。
 また、ライン照明がスリムであることから、照明器具の存在感が軽減され、カウンター下のライン照明は、カウンターと一体化する設置ボックス内に内蔵され、美観性が高まった。
 施工面では、新規に開発したスライド金具で締め付けることにより、躯体を傷つけることなく、耐震性を高めて安全に固定された。


 本研究の成果に対して、照明学会は、2013年、破石澄元(天台宗東北大本山 関山 中尊寺)、大森圭介(株式会社東芝)、梶村俊哉(東芝ライテック株式会社)、松下 進(松下進建築・照明設計室)、山本正人(東芝ライテック株式会社)、武内永記(同左)、金沢秀幸(同左)、渡辺元夫(同左)、湯座文男(東芝エルティーエンジニアリング株式会社)に照明学会 日本照明賞を贈った。

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キーワード

屋内照明技術、世界遺産、国宝、照明改修、LED、輝度設計、省エネルギー、グレアレス、分光測色、配光制御、色温度制御
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