1. HOME
  2. 電気・情報関連(専門)
  3. 研究情報(登録番号2019)

RIフリー点灯管の開発

E形点灯管の構造例

図1 E形点灯管の構造例

P形点灯管の構造例

図2 P形点灯管の構造例

[従来技術]
 従来,点灯管では特に暗所での始動性を改善するために,放射性同位元素(Radio Isotope:以下RIと記す=放射性物質)を使用していた。昨今の世界的な環境問題への関心の高まりの中でこのRIの廃止が求められてきた。

[解決すべき課題]
 点灯管の始動性は蛍光ランプの点灯時間を決める重要な特性であり,点灯所要時間(スイッチを入れてから蛍光ランプが点灯するまでの時間)としてJISC7603に規定されている。
 本開発では初期電子の確保,ならびに放電開始を容易にするための材料の選定を行い,RIフリー点灯管の実用化を図った。

[課題を解決するための手段と結果]
 (1)E形点灯管
 E形点灯管の対策内容について100V仕様のFG-1Eを例に解説する。図1にE形点灯管の構造を示す。
E形点灯管のRIフリー化を実現するための手段として長残光性蛍光体(長残光とは,通常の蛍光体よりも長時間りん光が継続されるもので,最近では時計の文字盤や安全標識などに使用されている)の応用を検討した。キャップの樹脂に長残光性蛍光体を混合することで,簡便に点灯管の電極周囲を長残光性蛍光体で覆うことができる。樹脂自体は可視光透過率の高いものを使用して,暗所においても蛍光体の残光や周囲の微量な光を効率よくエミッタ(電極表面に塗布された電子放射物質(Ba,La))に当てることで放電開始時間遅れに対して十分な効果を得ている。
 (2)P形点灯管
 P形点灯管の対策内容について200V仕様のFG-4Pを例に解説する。図2にP形点灯管の構造を示す。
P形点灯管のキャップには熱硬化型のユリア樹脂を使用しているのでE形点灯管のように長残光性蛍光体をキャップに含有させることが成形上困難である。封入ガス系と電極材質の両面から改善を図った。封入ガスは放電開始確率の向上と放電開始電圧の下がりすぎを考慮し新電極材質との効果を合わせNe+Xeの混合ガスとした。また電極材質選定では,電子放出量の増加による放電開始確率の向上を目標とした。
Niに対して仕事関数が低く比較的安価なZnに着目した。膜の緻密性,不純ガス吸着・放出などを考慮し,Ni基材にZn-Niめっきをほどこした電極を使用することによりRIフリー点灯管を実用化することが出来た。
(Zn-Niめっきは,合金化により耐スパッタ性が向上したのに加え,膜の緻密化により不純ガスの吸着や放出の量が極めて少ないため,Znめっきと比較して放電開始特性の低下が少なく,点滅始動回数6000回後でも十分な特性が得られている。)

[効果]
 点灯管の暗所における始動性を改善するには,初期電子供給源と放電開始確率の向上があげられる。長残光性蛍光体の残光による光電子の利用や,仕事関数の低い金属を電極上にめっきし2次電子放出量の増加を図ると同時に,封入ガスの変更により放電開始確率の向上を検討した。その結果,JISに適合し,実用上始動特性に問題のないRIフリー点灯管を開発し,実用化することができた。 

 本研究の成果に対して、照明学会は、2003年、 大澤 滋  (東芝ライテック株式会社)、齋藤明子 (同左)、石光一磨 (同左)に照明技術開発賞を贈った。

文献

[1]塩原,村瀬,石川,坂口,「長残光性蛍光体の発光によるグロースタータの放電開始特性に及ぼす効果」,第12回光源物性とその応用研究会資料,pp.34-41,1997
[2]大澤,齋藤,「冷陰極放電管の放電開始遅れ時間の改善」,照明学会全国大会,pp.52,2002

関連する研究を検索

分野のカテゴリ

照明
(光源)

関連する出来事

データなし

世の中の出来事

2003
国立大学法人法が成立する。
2003
日米欧などの国際チームがヒトゲノム解読完了宣言をする。

Webページ

博物館等収蔵品

データなし

キーワード

点灯管、放射性物質フリー、電極材質
Page Top