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高性能リチウムイオン電池を搭載した新世代電気自動車の開発と普及促進

モータシステムの主要諸元

表1 モータシステムの主要諸元

駆動用電池システムの構成

図1 駆動用電池システムの構成

車両統合制御システム

図2 車両統合制御システム

1.概要

 これまでの電気自動車(EV)は電池性能やモータ性能に起因する課題[①重くてかさばる電池 ②航続可能距離が短い ③充電に時間がかかる]があり,実用化が難しかった.しかし,高性能リチウムイオン電池などの要素技術と車両統合制御技術の開発により量産化の扉が開かれ,2009年7月,世界初の量産電気自動車としてi-MiEVを市場投入することができた.

2.技術の内容

(1)モータシステム

 モータシステムは,モータと制御機能及び電力変換機能(インバータ)を一体化したモータコントロールユニット(MCU)で構成される.モータは小型高性能な永久磁石式同期型モータを採用した.表1にモータシステムの主要諸元を示す.ガソリンエンジンと比較した時のモータの利点は,最大トルク,最高出力特性ともに発揮領域が広範囲にわたることであり,そのためガソリンターボ車と比べても加速性能に優れる.

(2)駆動用電池システム

 電池システムは,駆動用電池(88セル),各電池間を電気的につなぐバスバー,電池パック外への高電圧供給・遮断を行うコンタクタ,漏電を検知する漏電センサ,電流を測定する電流センサ,車両を整備する際に高電圧を遮断するメンテナンスプラグから構成される.駆動用電池は,EV用に開発された大容量・高出力のリチウムイオン電池を採用した.また,電池パックは急速充電時に冷却風を取り込むため,取り込み口と排気ファンを備えた構造とした.(図1

(3)車両統合制御システム

 車両システムの制御では,ユーザの入力情報(シフトレバー位置,アクセル開度,ブレーキ開度など)を元に各コンポーネントを管理・作動させる必要があるが,これらの制御は,個々のコンポーネントが独立して制御するよりも,各コンポーネントを統括するコントローラで統合制御したほうがより安全性を高められる.i-MiEVでは,各コンポーネントはすべて車両統合コントローラであるEV-ECUの指示のもとで動作するようにシステムを構築した.EV-ECUは,車両全体の情報を集約することで走行や充電などの車両制御とフェイルセーフを統合して制御している(図2).

3.まとめ

 電気自動車の量産化に当たっては,電池などの要素部品の開発に留まらず,車両全体を適正に制御するEVシステム制御にも注力し,安全性能,走行性能,耐久性能など,バランスの取れた車両を開発とした.

 求め易い車両価格の実現や,航続距離の向上,さらには電気自動車ならではコンポーネント開発など今後も技術開発を図り,電気自動車を通して社会・環境に貢献していきたい.

 本研究の成果に対して、日本機械学会は、2012年、吉田裕明(三菱自動車工業(株))、和田憲一郎(同左)、戸塚裕治(同左)、貴志誠(同左)に日本機械学会賞(技術)を贈った。

文献

[1] 半田和功、吉田裕明、「次世代電気自動車i-MiEVの開発」、三菱自動車テクニカルレビュー、Vol.19, pp.65-69, 2007.
[2] 細川隆志、谷畑孝二、宮本寛明、「次世代電気自動車i-MiEVの開発(第二報)」、三菱自動車テクニカルレビュー、Vol.20, pp.53-60, 2008.
[3] 半田和功、阿部隆秀、村松克好、「新世代電気自動車i-MiEVにおけるEVシステム制御の概要」、三菱自動車テクニカルレビュー、Vol.21, pp.16-21, 2009.
[4] 吉田裕明、「新エネルギー時代を駆ける電気自動車」、三菱自動車テクニカルレビュー、Vol.22, pp.8-14, 2010.
[5] 吉田裕明、吉川隆夫、神谷祐司、一瀬博樹、「リチウムイオン電池を搭載した電気自動車の安全性」、自動車技術、Vol.66, No.7, pp.49-54, 2012.

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電気自動車、リチウムイオンバッテリー、永久磁石式同期モータ、急速充電、外部給電
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