1. HOME
  2. 機械関連(専門)
  3. 研究情報(登録番号2013)

超高圧縮比ガソリンエンジン(1.3L)の開発10-15モード燃費30km/Lの実現

圧縮比と最大出力の関係

図1 圧縮比と最大出力の関係

出力性能比較

図2 出力性能比較

軽量ピストン・コンロッド形状

図3 軽量ピストン・コンロッド形状

i-stop電源システム構成

図4 i-stop電源システム構成

1.概要

 近年ハイブリッド車や電気自動車の開発が活発化し,電気デバイスによる燃費改善技術の採用が進んでいるが,2030年時点でも自動車の多くは内燃機関を動力源として搭載していると考えられている.今後,アイドルストップ(i-stop)や減速回生アシスト等の電気デバイスは,量産効果によるコスト低減でさらに普及が進むと思われるが,その効果を十分発揮させるためには,ベースとなる内燃機関の熱効率が重要である.このため,我々は,燃焼エネルギーのわずか3割程度しか動力に変換できていない現在の内燃機関を改善し,理想の内燃機関を目指した研究開発を進めている.その中で今回,理想の内燃機関への第一歩として高圧縮比ガソリンエンジンの開発に挑戦した.その結果,パワートレインとして26%の車両燃費改善(i-stopの始動燃料低減やCVTとのマッチングを含む)に貢献し,10-15モード30km/Lというハイブリッド車並の燃費を,特別な電気デバイスなしで達成することができた.

2.技術の内容

 ガソリンエンジンにおける高圧縮比化の最大の技術課題は,ノッキングという燃料の自己着火による異常燃焼の制約で熱効率が逆に低下してしまうことである.このため,近年でも燃料の直噴技術などによって圧縮比11程度が商品化されるに留まっている.今回の高圧縮比ガソリンエンジンの燃焼技術では,高圧縮比化に伴って点火前に現れる燃料の低温酸化反応に新たに着目し,低温酸化反応後に燃焼速度が向上する利点を積極的に活用した.図1に示すように圧縮比を11.2から13に高めると最大出力が低下するが,低温酸化反応の発生する圧縮比14以上では出力低下が抑制される.これに加えて,直噴技術の改良や燃焼室形状の工夫などで,図2に示すように高圧縮比化による出力低下を抑制し従来エンジン同等の出力性能を実現した.

 また,機械抵抗低減のために,摺動・回転部位の接触面積・接触荷重・摩擦係数の最小化,ポンプ類の流動仕事の最小化という観点から,ほぼ全部品の設計を見直した.採用した主要技術は,ピストンやコンロッドの軽量化,ローラフォロワ型の動弁系機構,細軸クランクシャフト,新型ウォーターポンプ,可変油圧ポンプなどである.図3にピストンとコンロッドの形状を示す.その結果,トータルで30%の機械抵抗を改善した.

 さらにi-stop技術も進化を遂げている.エンジン休止時および再始動時に電動VVTによる吸気量低減を行うことで,スムーズなだけでなく高効率で無駄のない始動を実現した.この高効率化によって再始動損失が従来エンジン比で60%以上低減され,約2秒i-stopするだけで燃料節約ができるようになった.また,図4に示すi-stop専用バッテリの充電能力向上により,減速エネルギーの発電利用が従来比約2倍になっており,この電力を再始動時のスタータ駆動に供給することで,再始動に使う燃料量を約30%削減できた.

3.まとめ

 今回開発した超高圧縮比エンジンは,SKYACTIV-Gとして2011年6月からデミオに搭載されて発売中である.引き続き自動車は内燃機関を搭載し続けるため,内燃機関の効率向上なくして自動車による環境改善はありえない.本エンジンは,全ての車種に展開可能な技術でこの要求に応えていくための価値ある第一弾である.

 本研究の成果に対して、日本機械学会は、2012年、人見光夫(マツダ(株))、養祖隆(同左)、佐藤圭峰(同左)、南谷邦公(同左)、中原康志(同左)に日本機械学会賞(技術)を贈った。

文献

[1] 山川正尚、養祖隆、藤川竜也、西本敏朗、和田好隆、佐藤圭峰、横畑英明、「高圧縮比ガソリンエンジンの燃焼技術の開発」、自動車技術会論文集、Vol.43, No.1, pp.81-87, 2012.
[2] 富澤和廣、後藤剛、室谷満幸、大槻健、松尾佳朋、上月正志、「新型ガソリンエンジンの開発」、自動車技術会学術講演会前刷集、No.66-11, pp.13-16, 2011.

関連する研究を検索

分野のカテゴリ

エネルギーと環境(エネルギー・環境)
(エンジンシステム)

関連する出来事

データなし

世の中の出来事

データなし

Webページ

データなし

博物館等収蔵品

データなし

キーワード

ガソリンエンジン、高圧縮比、機械抵抗低減、アイドリングストップ
Page Top